- 著者
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永田 員也
日笠 茂樹
酒木 大助
小林 淳
三橋 いずみ
川口 亮
福武 和正
平尾 裕之
- 出版者
- 一般社団法人 日本接着学会
- 雑誌
- 日本接着学会誌 = Journal of the Adhesion Society of Japan (ISSN:09164812)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.8, pp.309-315, 2001-08-01
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
-
2
ヘンシェルミキサーを用い重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.4mm)とタルク(3.2mm)をそれぞれ重量比3/1,1/1,1/3での混合と同時にステアリン酸による表面改質を行うことにより複合(ハイブリッド)フィラーを調製した。得られたハイブリッドフィラーおよび両者のフィラーを乾式で混合したブレンドフィラーをポリプロピレン(PP)に二軸押出機にて混練し,射出成形機で試料を調製した。これらフィラーの走査型電子顕微鏡観察の結果,ハイブリッドフィラーはブレンドフィラーと大きく異なり,混合時の衝突エネルギー,表面改質,粒子形状の違いなどにより微粒子炭酸カルシウムやタルクの凝集塊が十分に解砕されていた。ハイブリッドフィラー充填複合材料はそれぞれの粒子が均一にマトリックスに分散していた。得られた複合材料の力学特性を測定した結果,ハイブリッドおよびブレンドフィラー充填複合材料の弾性率や降伏強度はタルク配合比増加とともに向上し,タルクがこれらの力学特性改善効果に大きく寄与していることが明らかとなった。ブレンドフィラー充填複合材料ではタルク充填により衝撃強度が大きく低下した。一方,ハイブリッドフィラー充填複合材料の衝撃強度はフィラー充填量40%を除いてタルク含有量が10wt%以下ではマトリックスPPの38kJ・m-2よりも高い衝撃強度であり,炭酸カルシウムの配合比が高いほど優れた衝撃強度を示した。このハイブリッドフィラーの衝撃強度改善効果は解砕微粒子炭酸カルシウムの応力分散作用およびタルク凝集塊の解砕が主な要因であると考えられる。