著者
満崎 克彦 野村 美緖子 福永 久美 坂本 祐二
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.639-649, 2022-07-15 (Released:2022-07-15)
参考文献数
32

【目的】人間ドック胃内視鏡検診で発見された除菌後胃癌を対象とし,除菌後長期間経過した後に発見される胃癌の特徴を明らかにし,除菌後に必要なサーベイランス期間を検討する。【対象および方法】2009年4月~2019年10月までに発見された胃癌289例中,除菌後胃癌45例(早期癌44例,進行癌1例)である。除菌後胃癌の発見率の年次推移および臨床病理学的検討を行った。さらに,除菌後5年以内と10年以上経過後の発見胃癌について臨床病理学的な比較検討を行った。【結果】除菌後胃癌発見率は年々漸増し,直近の4年間では発見胃癌の34.2%を除菌後胃癌が占めていた。男性が多く,陥凹型(0-IIc)で分化型が多く,M,L領域に多く発生していた。除菌後5年以内の胃癌30例(66.7%)は,中等度~高度の萎縮粘膜に分化型癌の発生が多いが,除菌後10年以上経過後の胃癌9例(20.0%)は,軽度~中等度の粘膜萎縮が多く,未分化型が9例中5例(55.6%)と半数以上を占めていた。【結語】除菌後胃癌は除菌後10年以降にも20.0%が発見されており除菌後の継続したサーベイランスは長期間必要である。除菌後10年以上経過後は,軽度~中等度の胃粘膜萎縮を背景に未分化型癌の発見頻度が増加する。
著者
満崎 克彦 福永 久美 采田 憲昭 菅 守隆 藤本 貴久 工藤 康一 吉田 健一 多田 修治 須古 博信 浦田 譲治 神尾 多喜浩
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.378-386, 2008 (Released:2012-03-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1

胃内視鏡検診にて発見された十二指腸腺腫(乳頭部を除く)20例21病変の臨床病理学的所見について検討した。発見頻度は0.027%で, 男女比14:6, 平均年齢51.0歳(33歳から70歳), 十二指腸下行部に多く(94.4%), 乳頭部対側に多かった(64.7%)。平均径7.4mm(3mmから20mm)と比較的小さく, IIa型9病変, IIa+IIc型5病変, IIc型3病変, Is型2病変, Ip型2病変で, 扁平な隆起性病変あるいは浅い陥凹性病変が多かった。色調は褪色調15病変(71.4%), 正色調2病変(9.5%), 発赤調4病変(19.0%)で, 褪色調病変が多かった。組織型は管状腺腫18病変, 管状絨毛腺腫3病変であった。14例が内視鏡切除され, 6例は経過観察された。偶然発見される十二指腸腺腫は, 頻度こそ少ないものの胃内視鏡検診にて遭遇し得る十二指腸腫瘍性病変の一つである。十二指腸下行部に褪色調の扁平隆起性病変あるいは浅い陥凹性病変が認められた場合, 十二指腸腺腫を念頭におく必要がある。