著者
小島 峯雄 福田 信臣 川井 夫規子 広瀬 洋 大島 健次郎 小林 成禎 高橋 善弥太 足立 信幸 眞弓 忠
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.250-255, 1978-03-25 (Released:2010-01-19)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

昭和50年7月より昭和52年7月までに岐阜県立岐阜病院第2内科に入院したB型急性肝炎の独身を除く16同居家族の調査を施行した.家族構成は夫婦のみ1組,子供のある夫婦15組であった.夫婦のB型急性肝炎5組が発見され,いずれも約4ケ月の間隔で発症し,夫婦間感染が推定された.発端者の入院1週以内の調査により,子供を有する15家族のうち12家族(80%)に子供のHBs抗原陽性者が28例中14例に認められ,その1例を除く全例がHBc抗体高力価陽性で,HBウイルス持続感染者と考えられた.その年齢は1歳3ケ月から6歳であったが,3歳以下の乳幼児15人中12人(80%)がHBs抗原陽性であった.HBs抗原陽性の子供を持つ親の急性肝炎の初発は妻9例に対し夫3例で,この結果HBウイルス持続感染の子供から親特に母親にHBウイルス感染がおこり,急性肝炎が発症すると推定した.HBウイルス持続感染の子供,B型急性肝炎の一部の感染源として,医療との関係を考慮する必要があるものが存在した.