著者
大竹 敢 福田 光一 川中 彰
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1798-1804, 1996-11-20
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

本論文では, ウェーブレット変換を用いて, 画像に適応的な多重解像度分解を行い, そのエントロピー符号化にゼロツリー構造を導入した符号化方式を提案している.適応的な画像分解により, オクターブ分解では, 充分に取り除くことのできない, 画素間の相関を削減している.また, 分解後の各画像成分間の相似な位置での相関は, ゼロツリー構造により, 効果的に削減できる.さらに, 画像分解の基準に局所的なゼロツリー構造を導入することで, 各画像成分間の相関を考慮した画像分解を可能にしている.その結果, 要求されるビットレートに対応した画像分解が行われ, 少ない演算処理量で優れた圧縮特性が得られている.標準画像を用いたシミュレーションでは, 約0.4bppで符号化した場合, JPEGベースライン方式と比較して約3dB, オクターブ分解方式と比較して, 約1dB優れた結果が示されている.