著者
大竹 敢 福田 光一 川中 彰
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1798-1804, 1996-11-20
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

本論文では, ウェーブレット変換を用いて, 画像に適応的な多重解像度分解を行い, そのエントロピー符号化にゼロツリー構造を導入した符号化方式を提案している.適応的な画像分解により, オクターブ分解では, 充分に取り除くことのできない, 画素間の相関を削減している.また, 分解後の各画像成分間の相似な位置での相関は, ゼロツリー構造により, 効果的に削減できる.さらに, 画像分解の基準に局所的なゼロツリー構造を導入することで, 各画像成分間の相関を考慮した画像分解を可能にしている.その結果, 要求されるビットレートに対応した画像分解が行われ, 少ない演算処理量で優れた圧縮特性が得られている.標準画像を用いたシミュレーションでは, 約0.4bppで符号化した場合, JPEGベースライン方式と比較して約3dB, オクターブ分解方式と比較して, 約1dB優れた結果が示されている.
著者
進藤 美津子 菅原 勉 荒井 隆行 飯田 朱美 平井 沢子 程島 奈緒 安 啓一 飯高 京子 川中 彰 進藤 美津子
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

私共は、平成16年度〜19年度にかけて、音声コミュニケーション障害者、高齢者、聴覚障害者、言語聴覚障害児者に対する支援システム、評価法の開発およびコミュニケーション援助の開発や臨床への応用を目的として、以下の3グループに分かれて研究を行ってきた。研究分担者や研究協力者は、文系と理系からなる学際的なメンバーで構成され、それぞれの専門性を活かした研究に取組み、成果を上げてきたことが特記される。3グループの研究は次の通りである。1.音声コミュニケーション障害者への支援システムの開発とコミュニケーション援助:神経筋病患者の自声による日英両言語のコミュニケーション支援システムの構築を行い、臨床への応用が可能であることを示した。コーパスベース方式でシステム構築を行った後、より少ないデータで構築可能なHMM音声合成方式でも試作を行い実用レベルに達するという評価結果を得た。2.聴覚障害者に対する支援システムの開発とコミュニケーション援助:聴覚障害児者や老人性難聴者のための残響環境下における聞きやすい拡声処理と補聴器のための音声処理方式の開発と実用化への適用を推進した。3.言語聴覚障害児者に対する支援システムの開発とコミュニケーション援助:高次脳機能に障害を持つ、後天性小児失語症児や中枢性聴覚障害児のコミュニケーション能力向上のための評価、指導法を開発し、発達性構音障害の鑑別診断となる基礎的研究と臨床への応用を行い、発達性読み書き障害児への基礎的、臨床的検討を行った。また、言語習得過程の不備からコミュニケーション障害が形成される可能性について問題提起した。