著者
福田 妙子 斎藤 重行
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

「ハロタン最小肺胞濃度における7-Nitro Indazoleの効果」(平成10年度分課題)[方法]Sprague-Dawleyラット14匹を、対照群と7-Nitro Indazole(7-NI;神経型一酸化窒素合成酵素阻害薬)群に分けた。ハロタンの最小肺胞濃度(MAC)をEgerらの方法で測定した後、7-NI100mg/kgあるいは溶剤のピーナッツ油を腹腔内投与し、再度MACを測定した。測定後ホルマリンで脳と脊髄を固定し、NADPH-diaphorase染色を施行した。[結果]7-NIはハロタンのMACを約50%低下させた。同時にNADPH-diaphorase染色では青斑核と脊髄後角で約25%の陽性細胞低下を認めた。「デキサメデトメジン投与後のハロタン最小肺胞濃度とNADPHジアホラーゼ組織化学染色」(平成11年度分課題)[方法]Sprague-Dawleyラット36匹を、デキサメデトメジン(DEX;α2作動薬)単回投与(50μg/kg)と3日及び14日間の慢性投与(50μg/kg/day)の3群、さらに各々の対照群3群の合計6群に分け、MAC測定とNADPH-diaphorase染色を施行した。[結果]単回投与のDEXはハロタンMACを約50%低下させたが、NADPH-diaphorase染色の低下は伴なわなかった。持続投与のDEXはハロタンMACを変化させなかったが、3日投与群で青斑核の陽性細胞数が有意に低下していた。DEXによるMACの低下は一酸化窒素の抑制を介しているとはいえなかった。[まとめ]一酸化窒素は吸入麻酔薬の最小肺胞濃度決定に重要な役割を果たしていたが、最小肺胞濃度は一酸化窒素単独で決定されてはいない。