著者
福田 宏樹
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.116-119, 2003-03-30

キイロスズメTheretra nessus(Drury,1773)は,インドからニューカレドニアにかけて広域分布するが,亜種は知られていない.筆者は今まで記録の無かったフィジー産の本種を入手し,インド北部,タイ,日本,フィリピン,ボルネオ,ニューギニア,ビスマーク諸島,ソロモン諸島の個体と比較した.その結果,前翅が広く白味がかった褐色になる,後翅の中央にある黒色紋の発達が悪いため,白味がかった褐色の地色は広く明瞭になる,裏面は前後翅とも黄色味がかった褐色に覆われ,前翅の基部から中央部にかけてある黒褐色の紋を欠く,などの点から新亜種と認め,Theretra nessus albata ssp.n.として記載した.亜種名albataはラテン語で白衣の意.