- 著者
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石井 彰三
福田 昌宏
堀田 栄喜
- 出版者
- 東京工業大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1987
ピンチ形式のプラズマ発生法において、大強度軟X線源、軟X線レーザーへの応用のうえで優れた特徴のある炭素薄膜ライナー圧縮方式を提案し、その原理を実証した。まず、雪かきモデルに類似したシミュレーション法により薄膜の圧縮過程を定量的に検討し、理論的にも本方式は問題が無いことを明らかにした。次に、成膜法の最適化について高周波放電、交流あるいは直流アーク、グロー放電、パルス放電等の各種形式について試み、細い炭素棒をジュール加熱して行う真空蒸着を用いれば、一様でかつ電気抵抗の低い薄膜ができることを示した。しかし現段階では炭素薄膜の場合、成膜に時間がかかり過ぎること、プラズマの圧縮過程が一様でないことなど問題点も多く存在する。そこで炭素にこだわることなく、導電性物質を薄膜とする概念に拡張して研究を発展させた。電気抵抗を低くするには金属薄膜が優れていることから、膜形成が容易なアルミニウムに着目し、その薄膜ライナーと圧縮を検討した。成膜はタングステン・ヒータを用いたアルミ真空蒸着法が確実であり、しかも一様にできること、および蒸着源の部分を工夫すれば真空を破らずに連続運転も可能であることを示した。内径7cmのアクリル製放電容器の内壁へ電極間に幅4cmでつけた膜の厚さは、10〜数10オングストロームであった。これを容量4.4μFのコンデンサ電源で放電電流70KAで駆動した実験により、原理通りの圧縮を実現し、本研究の提案が正しいことを示した。プラズマの振る舞いは、軟X線計測、高速度カメラによる観測だけでなく、これまでライナー圧縮実験では行われたことのない磁気プローブによる磁界測定を実施した。実験で得た軟X線出力を検討するため、平均イオンモデルならびに混成原子モデルによりアルミニウムプラズマからの軟X線放射スペクトルを理論計算から求め、現段階では、内殻電子からの放射強度が強くないことを示した。