著者
福西 義幸
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.281-283, 2006-05-01

野洲川の対岸を走るJR草津線の電車の音が水田地帯にこだまする滋賀県甲賀市水口町酒人地区.昭和の終わりから平成の初頭にかけ,ほぼ全戸が第2種兼業農家だったこの集落に農業崩壊が始まった.このままでは集落そのものが壊滅する.不安の中から危機意識が芽生えた.そんな状況下,集落の農地をどう守っていくのかという真剣な議論が始まった.委員会を作り時間をかけたていねいな話し合いをすすめた結果,集落一農場方式で組織営農に取り組む方向で地権者の合意が得られた.「集落の農地は自分たちの責任で後世に引き渡そう」という思いからだった.同時に,圃場基盤の整備と生活環境の改善を進めていくことも決めた.