著者
鎌野 琢也 福見 淳二 鈴木 茂行 原田 寛信 片岡 雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.47-56, 1996-02-15
被引用文献数
13

複数の駆動軸を有するプラントにおいて, 各軸を定常状態のみならず過渡状態においても高速に同期化できれば製品精度や作業効率の著しい向上が期待できる。しかしながら, 各軸の動特性は一般に大幅に異なっており, それらは運転状態により変動する。また, 著しい非線形性を有する場合もある。それゆえ, ベルト掛けなどによる機械的な駆動方式あるいは, 固定ゲインコントローラを用いる従来の制御方式では高速な同期化に限界がある。本論文では, 自己調整ファジィフィードフォワードコントローラを用いた高速同期システムを提案している。本システムは固定ゲインフィードバックコントローラと自己調整ファジィフィードフォワードコントローラから構成されており, 各軸間に同期化コントローラが設置されている。各軸のファジィコントローラの後件部変数は各軸の追従誤差信号だけでなく、両軸間の同期化誤差をともに零収束させるようにチューニングされる。チューニング終了後, 両軸は同期状態を維持しつつファジィコントローラにより制御対象の等価的な逆システムが構成されるので追従特性が改善される。DCサーボモータを用いた二軸位置決めシステムに提案するコントローラを適用した場合, 優れた追従特性および高速な同期化特性が得られることを実測により確認している。