著者
福録 恵子 荻野 敏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.385-393, 2001
被引用文献数
15

通年性アレルギー性鼻炎は患者の日常生活に様々な影響を及ぼす.しかし患者の主観的健康観については現在よくわかっていない.そこで通年性アレルギー性鼻炎患者のQOL向上のため,個別的ケアに役立つ情報の一般性評価を目的としSF-36を用いて主観的健康観のQOL測定をおこなった.14施設において,1999年6月から同年8月にかけて,外来受診した通年性アレルギー性鼻炎患者252名を対象とした.その内,有効回答を得た249名について患者背景因子を調査し,健康関連QOLスコアに影響を与える因子の同定を行った.また,健康人及びスギ花粉症患者とのHRQOLスコアを比較検討した.結果として,年齢,性別,合併症の数は,HRQOLに対する有意な寄与因子であった.鼻閉がQOLに最も大きい影響を及ぼしており,他症状と比較し重症度に及ぼす影響が大きいと考えられた.スギ花粉症患者と通年性アレルギー性鼻炎患者は健康人と比較し,QOLスコアが有意に低下していた.両者に有意差は認められないが,スギ花粉症患者は通年性アレルギー性鼻炎患者と比較し低いQOLスコアを示した.