著者
南 由優 塩崎 由梨 加藤 千晶 伊藤 真貴 竹内 紀子 小柳 桃朱 荻野 敏
出版者
Japan Rhinologic Society
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.481-489, 2010 (Released:2010-12-23)
参考文献数
29
被引用文献数
5 5

Japanese cedar pollinosis (JCP), an unfortunately common chronic breathing problem, interferes with cognitive function, impairing work productivity and inducing economic loss. We evaluated JCP impact on work productivity, QOL, and symptoms.Our study, conducted during Japan's peak pollen season, used questionnaires on work productivity and activity impairment allergy-specific (WPAI-AS) and Japanese rhino conjunctivitis QOL (JRQLQ).The pollen count in 2009-4067.5/cm2 was 3 times that in 2008-1468.4/cm2. Subjects numbered 227 (202 employees and 25 students) in 2008 and 308 (277 employees and 31 students) in 2009. Mean workplace absence was 0.9% in 2008 and 1.2% in 2009 and mean work efficiency loss 33% in 2008 and 42% in 2009. Mean classroom absence was 0% in 2008 and 1.5% in 2009 and mean study efficiency loss 33% in 2008 and 48% in 2009, showing a positive correlation between work productivity score, QOL, and symptoms. Work productivity decreased more in 2009 with increased pollen count.With the large economic loss due to pollinosis, both symptom severity and QOL must be improved to increase work productivity.
著者
奥田 稔 宇佐神 篤 伊藤 博隆 荻野 敏
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.1181-1188, 2002-12-20
被引用文献数
4 7

アレルギー性鼻炎患者(AR)における昆虫アレルゲンの症状への関与を調べるため,560例のARを対象にしてガ,ユスリカ,ゴキブリを含む13アレルゲンに対するIgE抗体を測定した.また,65例の患者でこれら3種の昆虫の鼻誘発試験を実施した.<br>ガ,ユスリカおよびゴキブリに対するIgE抗体保有率はそれぞれ32.5%,16.1%,13.4%であった.これらIgE抗体保有率には,地域,年齢,治療および合併症による差は認められなかった.<br>鼻誘発試験で陽性と判定される割合は,RASTクラスが高いほど多くなる傾向があった.とくにゴキブリ,ガにおいて,RASTクラス3以上では,各々55.6%および61.5%が鼻誘発試験に陽性を示した.<br>昆虫間のIgE抗体価の相関を検討したところ,ガ,ユスリカ間には強い相関が認められ共通抗原性を示唆したが,ゴキブリ,ガ間およびゴキブリ,ユスリカ間では強い相関は認められなかった.また,いずれの昆虫もヤケヒョウヒダニおよび室内塵に対するIgE抗体価との相関は認めなかった.<br>以上の結果,日本においてガ,ユスリカ,ゴキブリは,アレルギー性鼻炎を起こす原因となっていることが示された.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.627-635, 2005
被引用文献数
9

【目的】スギ花粉症が労働生産性に与える影響についてpilot studyを行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に, 大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において労働生産性に関する質問紙調査を行い, 有効回答の得られた就労者512名を分析対象とした.【結果】損失労働時間は過去1週間の状況を調査したが, 約9割が0時間と回答した.生産性低下の程度はVASを用いて計測し, 通常期の3/4程度に低下していると回答した症例が約半数を占めた.労働生産性指標への寄与因子を多変量ロジスティック回帰にて検討したところ, 罹病期間が短期間の例, 眼の痒みが重症な例では, 労働時間の損失が生じるリスクが高くなることが判明した.また, 身体面または精神面でのQOLが低下している例, 花粉症対策用具を使用している例では, 生産性の低下を感じる可能性が高いことが明らかとなった.【結語】花粉症による労働損失を削減するためには, 鼻症状ばかりでなく眼症状の改善にも注意をはらい, QOLの早期改善をはかることが重要だと思われた.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.627-635, 2005-07-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
7

【目的】スギ花粉症が労働生産性に与える影響についてpilot studyを行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に, 大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において労働生産性に関する質問紙調査を行い, 有効回答の得られた就労者512名を分析対象とした.【結果】損失労働時間は過去1週間の状況を調査したが, 約9割が0時間と回答した.生産性低下の程度はVASを用いて計測し, 通常期の3/4程度に低下していると回答した症例が約半数を占めた.労働生産性指標への寄与因子を多変量ロジスティック回帰にて検討したところ, 罹病期間が短期間の例, 眼の痒みが重症な例では, 労働時間の損失が生じるリスクが高くなることが判明した.また, 身体面または精神面でのQOLが低下している例, 花粉症対策用具を使用している例では, 生産性の低下を感じる可能性が高いことが明らかとなった.【結語】花粉症による労働損失を削減するためには, 鼻症状ばかりでなく眼症状の改善にも注意をはらい, QOLの早期改善をはかることが重要だと思われた.
著者
荻野 敏 原田 保
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.282-287, 1996-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

アレルギー性鼻炎はストレス, 疲労などにより悪化する. 今回, 全身倦怠感, 不眠などを伴った5例のアレルギー性鼻炎に補中益気湯を投与した. 症例1は22歳, 女性, 数年間のHD減感作治療を受け鼻症状は落ち着いていたが, 中耳炎の手術後から再び鼻症状の悪化を見た. 同時に食欲不振, 全身倦怠感, 不眠, 耳鳴も出現してきた. 症例2は43歳女性. 子宮筋腫により子宮全摘を受けている. 全身倦怠感, 不眠を伴つていた. 症例3も43歳, 女性. 中等度の貧血を伴つていた. 症例4は26歳, 男性. 不眠, 倦怠感, 仕事でのストレスを伴つていた. 症例5, 18歳, 男性. 受験による不眠, 倦怠感を訴えていた. 全症例に補中益気湯の投与を行ったところ数日から1ヵ月以内に鼻症状の改善を見た. 特に症例1, 2では本薬剤の投与のみであつた. この成績から, 補中益気湯は全身倦怠感, 不眠などの全身状態の良くないアレルギー性鼻炎に対しては有効な薬剤であると思われた.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.627-635, 2005
参考文献数
20
被引用文献数
9

【目的】スギ花粉症が労働生産性に与える影響についてpilot studyを行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に, 大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において労働生産性に関する質問紙調査を行い, 有効回答の得られた就労者512名を分析対象とした.【結果】損失労働時間は過去1週間の状況を調査したが, 約9割が0時間と回答した.生産性低下の程度はVASを用いて計測し, 通常期の3/4程度に低下していると回答した症例が約半数を占めた.労働生産性指標への寄与因子を多変量ロジスティック回帰にて検討したところ, 罹病期間が短期間の例, 眼の痒みが重症な例では, 労働時間の損失が生じるリスクが高くなることが判明した.また, 身体面または精神面でのQOLが低下している例, 花粉症対策用具を使用している例では, 生産性の低下を感じる可能性が高いことが明らかとなった.【結語】花粉症による労働損失を削減するためには, 鼻症状ばかりでなく眼症状の改善にも注意をはらい, QOLの早期改善をはかることが重要だと思われた.
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 嶽 良博 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.669-675, 2004
被引用文献数
5

大阪・和歌山において,2003年のスギ花粉飛散のピークと想定された2月24日から3月8日の期間に,16施設の耳鼻咽喉科外来を受診したスギ花粉症患者に対し,初期療法に関するアンケート調査を行った.そのうち,初期療法を受けていた501名のデータから,服薬状況が初期療法の有効性に与える影響を検討した.前年の症状と比べた2003年度の全般的な患者の評価を4段階で判定したところ,服薬率が高い患者群ほど,昨年より症状が軽いとする症例が有意に多かった.また,鼻汁および鼻閉の重症度も軽症化する傾向にあった.服薬率が初期療法の効果に大きく影響することが確認されたことから,服薬率を50%以上,50%未満の2値に分類し,その寄与因子を多変量ロジスティック回帰にて検討した.その結果,学生であること,目薬などのOTC薬の使用者および初期療法が短期間の例では服薬率が50%未満となるリスクが高くなることが判明した.なお,単変量ロジスティック回帰では薬剤費の上昇が高服薬率の要因であった.
著者
藤井 つかさ 荻野 敏 有本 啓恵 入船 盛弘 岩田 伸子 大川 内一郎 菊守 寛 瀬尾 律 竹田 真理子 玉城 晶子 馬場 謙治 野瀬 道宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.1288-1294, 2006-10-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
11

【目的】スギ花粉症患者のQOLについてSF-8を用いて調査し,その有用性を検討した.【方法】2005年のスギ花粉飛散ピーク時に,大阪府・兵庫県の診療所においてスギ花粉症で受診した患者に,SF-8によるQOLを含むアンケート調査を行い,シーズン中に全く治療を受けていない症例のうち有効回答の得られた204名を解析対象とした.【結果】SF-8の国民標準値と比較すると,スギ花粉症患者では精神面のQOLが有意に低値を示した.特に,女性では有意差が認められた.男女別に比較すると,SF-8のサマリースコアおよびほとんどのドメインにおいて,女性の方が身体面・精神面共にQOLが障害されていた.年齢別に分析すると,加齢に伴い,特に身体面でのQOLが低下した.また,くしゃみや鼻づまりなどの症状の重症化に伴い,精神面においてQOLの低下が認められた.【結語】本研究では,花粉飛散ピーク時のQOLについて,従来のSF-36を用いた研究と同様の結果が得られた.SF-8は,感度は良くないが,より短時間で行うことができ,大人数の症例検討や他疾患との比較において,今後有用な質問票になると示唆された.
著者
荻野 敏
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.204-210, 2002-06-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
7

予備校生802名を対象にアンケート調査を行い, ストレスとアレルギー疾患の関連について検討した。精神面, 身体面のストレスサインの検討から, 予備校生はストレスが高くなると, 感情面に逃避的になり, 筋緊張系にストレスがでやすい傾向があった。ストレスとアレルギー疾患罹患率の関係では, 4疾患ともストレススコアが高いほど罹患率も高かったが, 有意な関連がみられたのは身体面ではアレルギー性鼻炎と花粉症, 精神面では喘息とアトピー性皮膚炎だけであった。有症率は, 身体面ではくしゃみを除き, 鼻汁, 喘鳴など他7症状で有意にストレススコアが高いほど有症率も高く, 精神面でもすべての症状でストレススコアとの有意な関連が認められた。ストレスの有無は症状と有意な関係があり, ストレスが高まるほど症状を起こしやすいようであった。
著者
角谷 千恵子 荻野 敏 池田 浩己 榎本 雅夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.554-565, 2006

【目的】第2世代抗ヒスタミン薬7剤について,スギ花粉症に対する初期療法の有効性ならびにcost qualityの比較を行った.【方法】2003年のスギ花粉飛散期に大阪・和歌山地区の耳鼻咽喉科外来において初期療法に関するアンケート調査を行った.【結果】単剤療法を受けていた症例は,アゼラスチン15例,セチリジン15例,エバスチン36例,エピナスチン16例,フェキソフェナジン16例,ロラタジン群60例,オキサトミド群17例であった.無治療群510例を対照群とし,比較を行ったところ,全般症状改善度,くしゃみ,鼻汁および眼の痒みの程度に8群間で有意差が認められた.一方,7薬剤間に有意な有効性の差は認められなかった.各薬剤について「有効例1例を得るために必要な薬剤費」を算出したところ,cost qualityに優れる上位3剤は,アゼラスチン,ロラタジン,フェキソフェナジンであった.【結語】第2世代抗ヒスタミン薬7剤の有効性に明らかな差はなく,そのcost qualityには薬価が大きく関連していた.
著者
馬場 謙治 荻野 敏 松本 達始 石田 稔 柴田 忠良
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.563-571, 1993-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
36
被引用文献数
1

ラット腹腔肥満細胞を用いて, ヒスタミン遊離に対する温熱の影響について検討した。ヒスタミン遊離刺激物質としては, DNP-Asを抗原とする特異的刺激とcompound 48/80, substance-Pなどの非特異的刺激を用いた。43℃, 10分から15分問の温熱処理により, ラット肥満細胞からの特異的および非特異的刺激によるヒスタミン遊離は抑制され, その効果は5時間以上持続する結果が得られた。
著者
阪上 雅史 荻野 敏 土井 勝美 松永 亨 入船 盛弘 尾崎 正義
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.1537-1543, 1993-11-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
12

A 63-year-old woman with multiple disturbances of the cranial nerves is reported. She initially complained of bilateral hearing loss and otorrhea, followed by right facial palsy and vertigo and was hospitalized on August 25, 1983. Despite steroid therapy, her condition deteriorated and finally complete bilateral deafness and complete bilateral facial palsy developed.Histologial examination of the mastoid mucosa, obtained by exploratory tympanotomies in both ears, showed non-specific inflammation. Noteworthy findings or laboratory examinations were extremely high levels of ESR and CRP, positive RA test, and negative tuberculin test.Tracheotomy was performed because of recurrent bilateral nerve palsy. Scleritis occurred in March, 1984, and the disturbances of eye movement, ptosis and atrophy of tongue developed in September, 1984. Long-term steroid therapy did not improve cranial palsy. There were no neurological signs such as pathological reflex in the limbs, involuntary movement or meningeal irritation symptom. There were no remarkable findings on CT or MRI.Although treatment by a local hospital continued, the III, IV, VI, VII, VIII, X and XII cranial nerves remained paralyzed. She finally died of systemic weakness in March, 1989.This was a rare case that began with bilateral otitis media and proceeding to paralysis of initially occurred and cranial nerves in order of VII, VIII, X, XII, III, IV and VI nerves. The background of this case included systemic vascular disease, especially Cogan's syndrome, because of otologic and ocular symptoms and multiple disturbances of the cranial nerves.
著者
荻野 敏 原田 保 坂口 喜清 柳 英博 丹生 真理子 仙波 治 入船 盛弘 田矢 直三 野入 輝久 坂本 邦彦 荻野 仁
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.199-204, 1998-02-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
7
被引用文献数
4 6

Treatment of tinnitus is often difficult. In this study, we evaluated the effectiveness of a Chinese medicine, Gosha-jinki-gan, for the treatment of tinnitus. Forty-two cases, comprising a total of 58 ears, received Gosha-jinki-gan at a dose of 7.5 g a day for at least 4 weeks. Efficacy was evaluated on the basis of changes in symptoms before and after treatment. In total, twenty-seven out of 58 ears (46.6%) improved. The final improvement rate was higher in the group with hearing loss than in the group without hearing loss. It was also greater in the group without pre-treatment than in the group with pre-treatment, however, co-treatment did not influence the improvement rate. No adverse reactions were evident. From these results, it was thought that Gosha-jinki-gan might be useful in the treatment of tinnitus.
著者
荻野 敏 入船 盛弘 後藤 啓恵 仙波 治 野入 輝久
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.309-324, 1999-03-01
参考文献数
13
被引用文献数
4

The clinical efficacy and safety of 200 &mu;g/day (100&mu;g b. i. d) of mometasone furoate nasal spray (MFNS) administered for 2 weeks was evaluated by comparison with a low dose of MFNS of 50&mu;g/day (50&mu;g o. d.) using the envelope-method in a total of 65 patients with Japanese cedar<br>pollenosis.<br>The pollen counts for Japanese cedar in 1995 were extremely high in the Kansai district. About 5, 000 counts/cmz was confirmed in and around Osaka.<br>In the analysis of final overall improvement, marked or moderate improvement was observed in 76.2% (16/21) and 20.8% (5/24) of patients receiving MFNS 200&mu;g/day and 50&mu;g/day, respectively. The difference in efficacy between the two dosage groups was confirmed independently of timing of the initiation of administration. In the analysis of overall safety, high safety was observed with both treatments. The above results suggest that 200&mu;g/day of MFNS can be considered the recommended dose for the treatment of Japanese cedar pollenosis.
著者
保手浜 勝 竹森 利和 平岡 哲也 荻野 敏
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.49, no.Supplement1, pp.37-40, 2006-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
4

【目的】43℃のエアロゾル, すなわち鼻局所温熱療法が鼻アレルギーの諸症状に有効であることについてはすでに多くの報告がある。今回家庭の浴室で48℃のミストを発生するいわゆるミストサウナの鼻アレルギー等の鼻閉に対する効果を検討した。【対象および方法】10名の鼻アレルギー患者を対象に, ミストサウナ入浴 (10分) と通常の40℃の入浴の鼻閉に与える効果をVASおよびacoustic rhinometry (AR) により比較した。なお, 全例別の日時に両方の入浴および測定を行っている。【成績および考察】通常入浴では, 出湯直後のみVASで鼻閉の改善がみられたが, acoustic rhinometryによる鼻腔容積の有意な増加はみられなかった。それに対し, ミストサウナではVASにおいてもacoustic rhinometryにおいても鼻閉の改善は30分以上持続し, 90分後においてもミストサウナは通常入浴に対して有意に鼻閉改善効果がみられた。このようにミストサウナは従来の鼻局所温熱療法と同様の効果がみられ, これを用いた毎日の入浴は鼻アレルギーの症状改善に有用と思われた。
著者
荻野 敏 高橋 桜子 川嵜 良明 水津 百合子 入船 盛弘
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.31-36, 2000-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
9

アスピリン喘息 (AIA) を対象に日常の食事などにより発作を増悪させる可能性のある物質 (添加物) について問診により検討した。9名中6名で何らかの物質により症状の悪化、出現を見た。誘発物質は (1) 歯磨き、 (2) たくあん、漬物類、 (3) 缶ジュース類、 (4) カレー、香辛料、 (5) 野菜、果物類の5群に分類でき、それぞれにAIAの誘発に関連の可能性がある防腐剤や色素が含まれていた。また見られた症状は喘息、鼻炎の出現から喉のイガイガ感、異物感、咳などであった。このようにNSAIDs以外にも多くの物質により発作の増悪がみられ、このことがAIAの治療を難しくし、またこれらの指導が治療に重要であると思われた。
著者
荻野 敏 入船 盛弘 有本 啓恵 岩田 伸子 荻野 仁 菊守 寛 瀬尾 律 竹田 真理子 玉城 晶子 馬場 謙治
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.247-251, 2006-07-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
5

73名のスギ花粉症患者を対象に、スギ、ヒノキ花粉の飛散量にかなりの変動が認められた2001年1月からの3年間、特異的IgE抗体価の経年的変化を検討した。スギ、ヒノキの大量飛散によりスギ、ヒノキ特異的IgE抗体価は翌年の1月には有意に上昇し、飛散少量年の翌年には有意に低下する経年的な変化が見られた。それに対し、HD、カモガヤでは同様の変動は見られなかった。この変動は年齢にかかわらず認められた。以上のように、特異的IgE抗体価はアレルゲンの曝露量に極めて大きな影響を受け、スギ、ヒノキ花粉の大量飛散後には、特異的IgE産生が亢進し、翌年まで高抗体価を持続することから、少量飛散年と予測されても被曝量を減らすことを考慮した生活指導が必要と思われた。