著者
清 佳浩 飯塚 正男 秋久 俊博
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.309-316, 2005

脂漏性皮膚炎患者22例を対象に,ツバキ油およびツバキ油配合シャンプーの安全性と有用性について検討した。期間は4週間,使用頻度は週2回以上とした。紅斑,湿潤,鱗屑,痂皮,掻破痕,そう痒の皮膚症状について観察した結果,全ての皮膚症状に有意な改善が見られた(p<0.01)。有用性は,やや有用以上が95%,副作用は全症例に認められなかった。<BR>脂漏性皮膚炎の発症に関る癜風菌の菌数と頭皮脂質の分析を行った。菌数は試験終了後有意に減少しており(p<0.01),頭皮脂質は炭化水素群(炭化水素,スクワレン)と遊離脂肪酸量に有意な減少がみられた(p<0.05)。癜風菌数,遊離脂肪酸量ともに減少していた症例は18例中14例あり,皮膚症状の改善もみられた。<BR>以上のことから,ツバキ油とツバキ油配合シャンプーは脂漏性皮膚炎患者の頭皮・頭髪のケア剤として有用であると考えられた。
著者
秋久 俊博
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.445-453, 2007 (Released:2013-06-01)
参考文献数
62
被引用文献数
11 12

天然のトリテルペンやトリテルペン配糖体には抗炎症, 抗腫瘍, 発がん予防, 血糖降下, 抗高脂血, 肝保護, 抗ウイルスや抗菌作用など多彩な生理機能が報告されている。ここではこれら多彩な生理機能のうち, 2002~2006年にかけて報告された天然トリテルペン類やそれらの構造修飾物についての抗炎症, 抗腫瘍および発がん予防機能について概説する。トリテルペンポリオール類および酸性トリテルペン類の幾つかはin vivoモデル動物実験で優れた活性を示しており, これらのトリテルペンおよびそれらの誘導体は今後の抗炎症剤, 抗腫瘍剤および発がん予防剤開発において有用な化合物とみなされる。