著者
秋吉 史博 高橋 仁美 菅原 慶勇 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.47-52, 2001-03-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
19
被引用文献数
16

呼気筋強化に関する臨床研究は非常に少ない。本研究の目的は呼気筋強化の呼吸筋力に及ぼす影響を健常人において検討することである。健康な短大生36名(男性11名,女性25名 ; 平均年齢 ± SD ; 21.3 ± 2.8)を対象にした。11名はSouffleTMを用い,最大呼気口腔内圧が60cmH2O以下の4名は呼気筋強化用Threshold-EMTTMを用い1日15分間2回で2週間呼気筋強化を行った。11名は吸気筋強化用Threshold-IMTTMを用い1日15分間2回で2週間吸気筋強化を行った。10名は呼吸筋強化を行わないコントロール群とした。呼気筋強化群および吸気筋強化群では最大圧の30%をそれぞれ負荷圧とした。結果は,(1)Souffleを用いた呼気筋強化群では呼気最大口腔内圧は33%,吸気最大口腔内圧は32%それぞれ有意に増加した。Thresholdを用いた呼気筋強化群では呼気最大口腔内圧は44%,吸気最大口腔内圧は35%それぞれ有意に増加した。(2)Thresholdを用いた吸気筋強化群では吸気最大口腔内圧は46%有意に増加したが呼気最大口腔内圧には有意な変化はみられなかった。(3)コントロール群では呼気・吸気最大口腔内圧のいずれにも有意な変化はみられなかった。以上の結果は,呼気筋強化が呼気筋力のみならず吸気筋力を増加させ,呼気筋強化が呼吸リハビリテーションにおいて呼吸筋強化の種目として有用である可能性を示唆している。