著者
堤 徳正 川又 光子 秋月 浩光
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.472-480, 2017

ある施設から他病院へ常勤職員として感染管理認定看護師(Certified Nurse in Infection Control,以下CNIC)を派遣することは,日本では一般的でない。今回,大学病院から市中病院へCNICを2 年間常勤派遣する事業を実施したので,それに対する受け入れ側病院職員の評価を調査した。派遣先の全職員624名に無記名自記式質問紙を配布し,回収できた423回答(67.8%)のうち,CNICが常勤職員として派遣されていることを知っていた297名からの回答を解析した。276回答(92.9%),194回答(65.3%),286回答(96.3%)および234回答(78.8%)が,それぞれ「病院にとって派遣が(少し)有益だった」,「派遣期間が(やや)短かった」,「感染管理が推進・改善されたと感じたことがあった」,および「派遣が業務に役立つことがあった」と述べていた.これに対し, 3回答(1.0%)および22回答(7.4%)が,それぞれ「業務に支障があった」「改善すべき点があった」と述べていた. 今回の事業は,受け入れ側病院の感染対策の向上に寄与することができたと考えるが,事業終了後も同レベルの感染対策が維持できるか,受け入れ側病院の状況を確認する予定である.