著者
秋本 瞳
出版者
麗澤大学大学院言語教育研究科
雑誌
言語と文明 : 論集 (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.21-41, 2016-03

音声言語と話しことば、文字言語と書きことばとのずれを示すために、現代日本語書きことば均衡コーパス(BCCWJ)、及び日本語話し言葉コーパス(CSJ)を用い、チョット/スコシ、ヨ/ネの出現頻度から各ジャンルの特徴を考察した。その結果、チョット・スコシ、ヨ・ネの出現比率と、チョット・スコシのクラスター分析の結果から、BCCWJとCSJ の各ジャンルは、文字言語と音声言語といった基準によって分類できることがわかった。一方で、チョットとスコシ、ヨとネをそれぞれ総合した形、あるいは対立させた形でジャンルごとにみると、話しことば的、あるいは書きことば的な特徴の有無による分類等が考えられることが明らかになった。以上のことから、本稿では、音声言語/文字言語という枠組みではない、各ジャンルのテキストの文体的位置づけが行われ得ることを示唆した。
著者
秋本 瞳
出版者
麗澤大学
雑誌
言語と文明 : 論集 (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.125-141, 2011-03-30

本稿の目的は、先行研究で示されている意味的な解釈とは異なる観点から「の」「こと」の使い分けを捉えなおすことができる可能性を示すことである。今回は、電子化されたテキストから用例を収集、「の」「こと」が用いられる用例の助詞や品詞といった面から、その可能性を示唆するための基礎的な資料を作成した。具体的には、用例の「の」「こと」に後続する助詞「は」「が」「を」、主節の述語として用いられる「形容詞」「動詞」「名詞」「サ変名詞」といった品詞で分類した。その結果、「の」「こと」に後続する助詞や品詞により「の」「こと」の表れやすさに差異があることが示唆された。