著者
秦 克己
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.6-15, 1963-04-30 (Released:2011-06-17)
参考文献数
6
被引用文献数
1 3

1) 北西太平洋において投入した海流瓶は1932年以降, 北米に漂着したものは22本 (太平洋上4本を含む) であって, 1958, 59年に投入した海流瓶の拾得率は約2%となっている。 (北東太平洋では3%となっている)2) C海域 (黒潮域) で投入した海流瓶は僅か4本だけより拾得されておらず, そのうち2本がハワイ周辺で拾得された。 (北東太平洋におけるHOLLISTERの報告では拾得された816本の海流瓶のうち1本だけがハワイに漂着している)3) 亜寒帯海流の中心部における平均表面流速 (150°E~150°W間) は1日に4海里で, 一方この海流にのって北米に漂着した海流瓶17本の平均速度は1日に4.7海里となっており, 両者の差は約20%前後であった。4) 親潮沖合域に投入した海流瓶は50°N以北のカナダ・アラスカ沿岸に,混合水塊に投入したものはの40~50°N北米沿岸に, 黒潮域に投入したものは40°N以南の太平洋上に, 親潮接岸分枝域に投入したものは北日本沿岸へと水塊別に漂流先が決定付けられていたのは注目される。5) AとB海域, BとC海域の境はそれぞれ親潮前線,黒潮前線に相当している。6) 投入結果から春夏季三陸沖に南下する親潮表層水の北限は北得撫水道と考えられる。7) 日本海で投入した海流瓶はそれぞれA・B・C区に分散して拾得されている。
著者
秦 克己
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.193-201, 1965-11-30 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7
被引用文献数
10

1) 親潮接岸分枝の流量は1~4×106 m3/secで変動し, その年変動は1953~1954年と1960~1961年に極大が, 1956~1957年と1962~1963年に極小があらわれていて, 約7年の周期が見られる。2) 北海道東方および三陸沖における黒潮系水の北上が顕著な年に親潮接岸分枝の南下流量が大, 逆に黒潮系水の北上が弱い年に親潮接岸分枝の南下流量が小となっていて, この現象は黒潮の補償流が親潮であることを示す一例と考えられる。3) 春季では, オホツク水が北得撫水道を通過して太平洋に流出して, 南千島列島に沿い南西流し, その主流は親潮接岸分枝としてさらに南西流している。4) 西部北洋中央水の南限は1963, 64年の夏季に44°N付近で, これより南に達していない。又その南下流量は2×106 m3/sec前後 (1200 db基準でもほぼ等値)で, 平野が算出した値 (6~9×106)よりもかなり小さい。5) 千島近海の親潮について, その流路は春季・夏季とも同じであるが, その水塊は春季にオホツク海水が直接太平洋側に流出しているが, 夏季に宗谷暖流系水の影響を受けてやや高かんとなっている。