著者
種倉 紀昭
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.247-262, 1991-03-01
被引用文献数
4

本学部の特設美術科・美術科学生の絵画基礎実習と絵画所属学生の行なっている絵画専門実習,卒業制作に見られる近年の学生の制作に関わる現代絵画の問題点と課題を論ずることが本論の目的である。それには現代絵画の表現概念と近代美術のそれと関連について,また,前衛美術として現代絵画の特徴について考える必要がある。近代美術の自律性から来る純粋化と非芸術への漸近,ダダイズム以後の前衛美術の反市民芸術志向の二つが現代の絵画様式の多様性と相俟って伝統統的絵画教育の方法との間に現代的アポリアを招いている。最後に,研究専門領域のひとつである絵画組成論や絵画論との関連でこれまで筆者が指導上特に留意してきた事項とその指導法の改善課題について述べた。