著者
稲庭 恒一
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1 本第三セクター会社アンケート調査は有効回答数1356・回収率65.5%で、これは調査実施時期の第三セクター会社総数3707社の36.6%からの回答に相当するもので、画期的な回答結果であった。2 第三セクター会社の清算(経営破綻)は、98年以降増加の一途をたどり、負債総額の巨額化が目立つこと、所在地方的には東北・北海道・九州で多く見られること、等々を実証的に明らかにした。3 本アンケート調査は、これまで研究されたことのない第三セクター会社の経営状況と会社の内部関係、特に、事業分野・資本規模・経営体制・経営者の姿勢・地方公共団体との連携等、との実態的関係について、多くのことを明らかにしえた。例えば、資本金規模の大きな第三セクター会社ほど経営状況が厳しく、その小さな会社のほうが経営状況が良いとする割合が高い。業種的には、本アンケート結果によれば、「総務省調査」と異なり、経営が厳しいとする割合の高い業種は教育文化関係・運輸道路関係・農林水産関係などであり、経営状況の良い割合の高い業種は公害自然環境保全関係・生活衛生関係などである。地方的には中国・四国・北陸が経営が厳しい割合が高く、中部・関東・北海道・近畿が経営状況が良い割合が高い。地域的には離島・中山間部で厳しく、地方都市・沿岸部・大都市で良い割合が高い。8割近くの第三セクター会社で常勤取締役が居ないが、代表取締役社長が常勤であることが経営状況の良さの割合を高めるわけではない。等々である。4 本アンケートの分析を踏まえ、第三セクター会社経営上考慮すべき若干の提言を行った。