著者
福田 一彦
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

3歳から5歳までの保育園児を対象に、保育園での昼寝の効果を検討する目的で、平日から週末にかけて、活動量記録装置(ActiWatch)を用いて活動量の連続記録を行った。4歳児では、週末に自宅で自発的に昼寝をとる子どもの割合は3割を下回る。活動量のデータから、自然な状態で昼寝をしない子どもに約1時間半の午後の長い昼寝を課すことで、夜間睡眠の開始時刻が1時間以上後退することが明らかとなった。
著者
福田 一彦
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

保育園児では昼寝の日課があるために、昼寝の平均持続時間および回数が多く,午後の長い昼寝の習慣は,夜間睡眠の就床時刻を遅らせ,さらに寝起きの悪さや午前中の機嫌の悪さと関連している可能性が示唆されている。では,このような幼児期の睡眠パターンは,児童期の睡眠パターンに影響を与えるのであろうか。かつて保育園と幼稚園のいずれかに通園していた児童を対象に,現在の睡眠パターン等について調査を行った。その結果、小学校1年生と4年生において,平日の就床時刻がかつて保育園に通園していた児童で有意に遅く、2年生で遅い傾向があった。平日の睡眠時間は1年生と4年生で,幼稚園出身児童に比較して保育園児出身児童で有意に短かった。1週間あたりの昼寝の頻度と起床時の気分と夜更かしの頻度に関してはどの学年においても両群間に差は認められなかった。以上を要約すると,夜間睡眠の就床時刻と夜間睡眠の長さに関しては,保育園出身児童で就床時刻が後退しており、夜間睡眠時間も短かったが、回帰直線の傾きからは、その差が加齢とともに減少していく傾向が読み取れた。それに対して、幼児期に保育園児の就床時刻を決定する主要な原因であると考えられた昼寝の頻度に関しては、両群の間に統計的に意味のある差は認められなかった。また、就床時刻の後退とともに保育園児に認められた起床時の気分の悪さや、高頻度の夜更かし傾向などについても両群の間に有意な差は認められなかった。このことから、睡眠パターンを規定する要因であった昼間睡眠の習慣がなくなり、昼間睡眠それ自身も習慣として定着することは無かったにも関わらず、就床時刻や夜間睡眠の長さといった要素は,小学校に進学した後も数年間はその状態が持続する可能性があると考えられ、幼児期の睡眠の習慣がその後の睡眠習慣の形成に対して重要な位置を占めていると考えられた。
著者
兼田 繁
出版者
福島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本研究では、わが国最大の原発集中立地地域である福島県浜通り地方を対象として、原発立地による地域社会の変動を、地元各自治体の対応経過、住民生活と住民意識の変化、住民運動の形成・展開過程を中心に、実証的に明らかにしようとした。そのために、数次にわたる地元自治体、原発関連諸機関、住民運動リ-ダ-、住民各層に対する聞き取り調査及び楢葉町住民を対象としたアンケ-ト調査を実施した。また、最近の東北地方における地域振興と原発関連施設立地をめぐる問題状況を把握するために、青森県下北半島の核燃料サイクル施設、岩手県釜石市の核廃棄物地下実験施設、宮城県女川町の原発増設に関する動行について、現地視察を実施した。さらに福島第2原発事故をめぐる新聞報道や原発推進政策及び全国各地での原発立地をめぐる住民の動きに関するテレビ等の特集番組の収集を行った。これらの調査分析から、1.原発関連施設の誘致の理由として、地域の側から共通して挙げられているのが、出稼ぎの解消など、過疎脱却の地域振興への期待であること、2.原発立地による地域振興への地元自治体の過大な期待が原発の安全性確保のマイナス要因となっていること、3.原発立地後の住民運動が、誘致段階に比べて停滞する傾向があり、原子力行政の民主化が進んでいないこと、4.市町村民所得の向上や電源三法による自治体財政規模の増大が住民生活の豊かさに直結していないこと、5.原発立地による経済効果が建設段階を中心に一過的であるうえに地域産業の主体条件を急速に堀崩しているために、自立的な地域振興が困難となっていること、等が明らかになっている。以上は、これまでの国家プロジェクト及び大企業依存型の地域振興に共通する側面をもっており、今後この点での比較研究が課題である。
著者
下山 憲治
出版者
福島大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、雲仙普賢岳噴火災害・北海道南西沖地震災害における被災者救済措置の一部を実態調査し、分析を行った。今年度は、前記災害の際の義援金配分をめぐる法的関係および被災者にたいする救援・生活再建対策について分析した。その結果、義援金をめぐる法律関係は公私にわたる多数の団体がかかわるためその法関係が複雑であるとともに、紛争を解決するための手続が非常に未整備であること、また、被災者の救援・生活再建については、ごく一部の分析にととめざるをえなかったが、被災者の権利保障の観点から今後の検討が必要であり、それに伴う法整備が不可欠になっていることが明確となった。カリフォルニア州の被災者救援・支援法制について資料の収集を実施したが、同州および米国においても法的観点からの分析・検討がきわめて少なく、議会資料や裁判例および各種報告書等を収集せざるをえず、いまだ中途の段階であり、さらに今後も収集・分析を要する。
著者
中里見 博
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、次の4点を明らかにすることにあった。すなわち、(1)インターネットの普及が、ポルノグラフィの制作現場・消費行動にもたらした変化の実態。(2)その変化が、性暴力や性差別行為などの重要な人権侵害に与えている影響。(3)こうした変化や影響に対する、従来の性表現規制諸法(刑法わいせつ物頒布罪、児童ポルノ禁止法、青少年保護育成条例)の有効性。(4)諸外国の新たな規制法の調査研究、および日本における新たな規制法の考察、さらに「表現の自由」との関係。(1)(2)については、2回の盗撮に関するアンケート、ポルノ使用と性意識に関するアンケート、暴力ポルノ制作現場を取材したライターからの聞き取り、ポルノ制作プロダクション関係者からの聞き取り、インターネット被害相談サイト運営者からの聞き取り、ポルノ被害臨床例を持つ医師からの聞き取り等の調査活動、また暴力ポルノ事件刑事裁判傍聴、インターネット掲示板の観察等の諸活動をつうじて、インターネットの普及がポルノグラフィを未曾有に増大させ、制作現揚と消費行動を大きく変化させ、彩しい数の深刻な性被害を、女性および子どもに生じさせていることを明らかにした。次に(3)(4)については、1年に1億ページのペースで増大するサイバーポルノに対して、既存の諸立法がほとんど有効に機能していなことを明らかにし、そのうえでアメリカおよびカナダの立法および裁判動向について検討を行なった。その結果、カナダ刑法のわいせつ物規制における「被害アプローチ」の重要性を示し、アメリカの反ポルノグラフィ公民権条例における「民事アプローチ」の潜在的可能性を解明した。これらの立法・裁判動向によれば、ポルノグラフィに対する「被害アプローチ」による規制は、「表現の自由」の憲法的保障と矛盾しないことが明らかになったといえる。また、近年増大している性的盗撮も、それをポルノ被害の一種とみなして、盗撮に対する諸外国の立法動向を検討した。
著者
照沼 かほる
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、アメリカにおいて19世紀からさまざまな形で展開される「少女・女性の成功物語」を、ゴシック的要素と結びつけることで、「プリンセス(願望の)物語」と位置づけ、それを用いることで、アメリカの映像作品に描かれる「プリンセス」と、一見それとは対照的とみなされてきた「戦う女性」が、ともにゴシックの呪縛を帯びた、共通の矛盾・問題点をはらんでいること、またそれが広くアメリカ文化に浸透しつづけている女性像の問題と結びついていることを、アメリカの映像作品の分析を通して、論じるものである。
著者
内田 千代子 高橋 由光 杉村 仁美 UCHIDA M KING R OSTROFF R FINN-STEVENSON M
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本自殺予防教育により、多くの学生が「自殺の危険のある友人に、効果的に支援を申し出ることが自分にできる、自殺したいと思っているか聞ける、それにより友人を救う可能性がある」「死別による悲しみで苦しんでいる人に、カウンセリングや精神科受診を進めることがあると思う」と感じるようになった。友人の危険に際し適切な援助を勧めることができることによる自己効力感(self-efficacy)、遺された人をサポートできる力をもち、ピアサポーティブな行動をとれる学生を養成するという本研究の目的に叶った効果が認められた.
著者
半沢 康 武田 拓 加藤 正信 小林 初夫 本多 真史
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

同一のインフォーマントに同じ方言調査を繰り返し実施した場合,その調査結果はどの程度安定するのだろうか。本研究は方言調査データの「信頼性」(調査データがどの程度安定するのか)を明らかにすることを目的とする。宮城県角田市と伊具郡丸森町および福島県田村郡小野町において実験的調査を実施し,方言調査データの信頼性を把握した。伊具地方の調査では,多くの項目の安定性(2回の調査の一致度)は80%程度との結果が得られた。他のデータについても今後も分析を進め,結果を公表する予定である。
著者
木村 勝彦 大楽 和正 山田 昌久 卜部 厚志 荒川 隆史 高田 秀樹 大野 淳也 向井 裕知 岡田 憲一 平岩 欣太 赤羽 正春 吉川 昌伸 吉川 純子 西本 寛 三ツ井 朋子
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

縄文時代の木柱に年輪酸素同位体分析を加えた年輪年代学的解析を加えることで、新潟県青田遺跡の集落ではBC477年前後とBC530年前後の2回、それぞれ短期間に集中的に10棟以上の建物が建てられたことが明らかになった。縄文の建物に実年代がついたのは初めての成果であり、さらに廃棄層やクリの初期成長の変化などを加えて実年代をつけた詳細な解析が実施できた。また、現生の森林での実験を加えた詳細な花粉分析により、青田遺跡集落の数十m近傍にクリ林が存在していて、人為的な維持管理がなされていたことが確実になった。
著者
大塚 洋子
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

福島県の過疎地金山町を調査地域として選定し、高齢者の生活自立を支援する子世代である30歳代から50歳代の住民に対し、健康づくりや今後の生き方に関するアンケート調査を実施した。その結果は以下のようであった。1.健康づくりのために定期的な健診受診、十分な睡眠休養、気分転換の心がけについては実行率が高いものの、定期的な運動は低かった。2.健康づくりの施策として、運動環境の整備や精神保健事業の充実が高く望まれていた。3.自分の老後について考えている者は、半数以上であり、好きなことを優先する、のんびり気ままに過ごす、近所づきあいを大切にする生き方は高く望まれていた。4.ボランティア活動には6割以上に参加の意思をもっており、興味のある活動内容は、地域活動、環境活動やスポーツレクリエーション活動であり、国際交流活動や児童や障害者を対象とする活動は低調であった。5.世代間交流が重要であると捉えられており、世代間交流を進めるにあたっては餅つきや祭りなどの伝統行事、共同農作業、伝統芸能やむかし遊びなどの企画に高い関心がみられた。生活の質の向上においては、生活の安心と安定、生活の自立が重要であり、とりわけ生活支援は、支援する側と支援される側双方の健康資源が重要となること、また、生活の拠点である地域に根ざした、相互の助け合い支援としてのネットワークを活用しての健康資源の向上への期待は大きく、地域特性を配慮したきめ細やかな施策の取り組みが個人の主体的な取り組みとともに、地域社会の健康実現に肝要といえることを明らかにした。
著者
山川 充夫
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

地方都市の中心市街地空洞化は、世界都市化経済のもとでの都市システムの変容、都市化経済のもとでの郊外化、少子高齢化社会での空間市場縮小といった3つ過程の複合化現象として捉えられ、少子高齢社会では人口の空間的流動性が二極化していくので,地方における中心部の機能構築と空間整備は定着性の強い人口に焦点を当てて都市空間整備を行なう必要ある。地方都市の中心市街地の空洞化を促進したのは、改正大店法である、これは大型店出店を原則自由とするもので、巨大化・複合化戦略のなかで資本規模の大小にかかわらず、売場面積の拡大をはかりつつ、大店舗網のS&Bを進めた。例えばジャスコは提携・合併を繰り返し,中部・近畿をホーム地区としつつ全国に拡大しつつ、店舗のS&Bを進め、店舗が「ストック」としてではなく,「フロー」として取り扱われていること、そして規模と業態の異なる店舗を組み合わせて商圏の重層的掌握をねらっている。地方中核都市を中心とした30都市を選定し、小売業概況、大型店立地動向、中心市街地における商業活動や歩行者通行量、中心市街地再構築の視点などを人口規模別に検討すると、商業集積拠点としての中心市街地が維持されうるか否かの分岐点は人口規模20〜30万人台にある。また福島県内においてみると、一方の極としては地方中核4都市における駅前型・市街地型の商業集積の空洞化が進んでおり、他方の極としては郊外におけるロードサイド型ないしは郡部町村での商業集中の動きがあり、これらの動きの中間地帯に住宅背景型や中小6市の中心市街地が位置している。地方都市の中心市街地を活性化するには、消費者ニーズに対応した業態の転換や質の良い商品・サービスの品揃えを充実しなければならず、同業種・異業種を含め魅力ある個店が集積させることによって中心的機能としての結節性を獲得できる。当面の活性化のポイントはTMOであり、なお個性を見出せないが、特定会社型は商工会商工会議所型に比べれば、まちづくり運動に一定の蓄積があり、より多様な活動を行っている。例えば福島県会津若松市七日町通り商店街では「商業の活性化」ではなく、明治・大正期の建物の「修景を軸とした」まちづくり運動がワークショップ方式で進み、修景事業による空き店舗の解消、基本計画の策定、イベント導入などが積極的に進められ、会津若松市のまちなか観光の中心的役割を果たすまでになった。
著者
坂本 恵 佐野 孝治 村上 雄一
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ベトナム人技能実習生の権利擁護に取り組む日本国内の労働組合、弁護士ネットワーク、国際交流協会からの聞き取りを行い、権利擁護施策の最新情報を得た。また、韓国・台湾・オーストラリアにおける外国人労働者受け入れ施策を調査し、最新の動向を得た。ベトナム調査を実施し、帰国した実習生、その家族、支援者らからの聞き取り調査を行い報告書にまとめることができた。
著者
工藤 孝幾
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、運動技術を練習するときの練習の仕方について、大学生がどの程度正しく認識しているかを、実験的方法を中心にインタビューと質問調査法を組み合わせることによって多角的に分析することであった。分析の結果、彼らは、正しい動きの反復練習を繰り返すだけでは学習にはつながらないことを認識しているにもかかわらず、実際の練習行動においては、できるだけ正しい動きの反復回数を増やす方略を採用していることが分かった。
著者
加藤 眞義 菅野 仁
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、苧麻(ちょま)を素材とする織物生産の技術伝承に焦点をあわせ、同生産と後継者育成事業との現状について調査した。対象地は、福島県昭和村、沖縄県宮古島市、同石垣市、新潟県小千谷市、同塩沢町(現南魚沼市)である。1.昭和村においては、原麻生産地(新潟への供給地)としての伝統を地域活性化のシンボルとし、村外からの体験生・研修生を積極的に受け入れ、苧麻生産から織りまでの一貫した研修内容を準備している。体験生たちの参加動機には、狭義の技術習得を超えて、農山村生活への憧れ、現代的なライフスタイルの見直しといった要素が含まれている。当初、村民は外部からの来村者に対して違和感をもち、体験生たちは村の生活規範にとまどうこともみられたが、コミュニケーンの積み重ねによって、双方の受容過程が促進されたことがうかがえる。今後は生産物の販路確保、定住者の生活基盤の確保が課題となっている。2.「上布」生産の伝統をもつ宮古島市、石垣市、小千谷市、塩沢町においては、原則的に地元出身者優先で技術伝承研修が実施されている。これは人口上の過疎問題が昭和村と比して深刻化していないためであると考えられる。ただし、伝統技術の継承は、今日では高度にライフスタイルの選択としての側面をもつため、実際には外部からの意欲ある参加者も受け入れており、その参加動機は上述の昭和村の場合と重なっている。3.いずれの産地においても、糸積み工程の担い手不足が深刻な問題となっている。同工程を「隠れた前程」としたままにおくのではなく、生産工程全体を可視化することが課題となっている。4.宮古島市、石垣市、昭和村においては、かつて「伝統とは何か」についての若者層の問題提起が今日の伝統継承の重要なきっかけとなった。伝統の継承にたいしてこの「伝統定義」の検討・議論の与える力については、今後の研究課題となる。