著者
奥 和典 藤田 詠子 高井 綾子 小幡 輝之 金田 有里 大村 梓 善山 栄俊 稲村 ルヰ 吉江 和佳
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.48-52, 2013 (Released:2014-05-23)
参考文献数
13

14歳の男児が右側脛骨開放骨折後に脂肪塞栓症候群を発症したので,その経過を報告する.右脛骨開放骨折に対して全身麻酔下に洗浄と徒手整復が行われた.麻酔終了後2時間に発熱と軽度の意識障害を認め,急激に呼吸状態が悪化した.意識障害と両側肺野の線状陰影を認め,電撃型脂肪塞栓症と診断し,人工呼吸管理を含む集中治療を施行して治癒し得た.小児例における脂肪塞栓症の発症は稀とされているが外傷後の意識障害,低酸素血漿を認めた際には脂肪塞栓症候群の鑑別も必要であると思われる.