著者
尚 弘子 新垣 博子 外間 ゆき 稲福 盛輝
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.214-232, 1968-10-01

1.1966年12月19日に完全給食実施後の那覇教育区立城西, 城南, 城北小学校の3校で満9才から11才までの4年, 5年生の学童256名(男133名, 女123名)について食餌調査と身体症候調査を併用した栄養調査を行った。2.食餌調査の結果からは, 先に報告した3報と同様, 総摂取食品量が非常に少ないため, 熱量素, 蛋白質等が所要量に較べ摂取%が低くなっていたが, 一方学校給食によるビタミンA, B_1,B_2,C等の強化, ミルクの供給, そして調査日の献立中の豆腐チャンプルーの食品の組合せへの考慮等によりミネラル及びビタミン類の摂取率が高かった。3.栄養比率は比較的よい結果が得られたが, 今後の学童の発育および体位の向上を考慮に入れ, 動蛋比50%, 脂質カロリー20%を目標とした場合, やはり改善の必要がある。4.平均蛋白価は城西, 城南, 城北小学校ともそれぞれ74,72,76で第1制限アミノ酸は含硫アミノ酸となっている。5.学校給食摂取状況では, 3校中, 城西小学校の摂取%が低く, 特にパンの場合は43∿45%となっている。3校平均で, パンの摂取%が男子70%女子66%, 豆腐チャンプルーが男子63%女子65%, ミルクが男女とも75%となっている。学童の発育にとって最も大切な動物性蛋白質や, ミネラル, ビタミン類が学童の1日総摂取栄養量に対し, 学校給食から42∿66%も供給されているという結果から, 家庭では児童の食事を考慮すると同時に, 今後もっと学校給食への理解を深め, その目的と特徴を充分に生かすよう協力すべきだと思う。一方学校でも学童の学校給食摂取%がもっと高くなるよう工夫と指導が必要であろう。6.体位においては身長では男女及び各年令共, 城西小学校が最もすぐれ, 体重では一部の年令を除いては, 城西小学校が最もよい。又胸囲では男子は城南小学校がすぐれているが女子では各年令によって夫々差異がある。有症者の発現率は城西小学校が最も少く次いで城南, 城北の順となっている。個々の症候別では毛孔性角化症が3校とも顕著な高率を示しているが, その他の症候群の発現率は学校によって差異があるが, 貧血, 口角炎は僅少を示していた。性別では女子は城西小学校に多く発現し, 男子は城南, 城北小学校に発現率が高い傾向がみられた。
著者
外間 ゆき 稲福 盛輝 尚 弘子 新垣 博子
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.324-337, 1969-10-01

1.1967年11月に献立調査, 同年12月に食餌調査, 身体計測・身体症候調査を東風平小学校の満9才から満11才の男女学童について実施した。2.献立調査の結果, 朝食は飯と汁物とおかずの型が多く, 夕食は飯と汁物が多い傾向がみられた。又, 献立の内容では, 汁物では味噌汁がよく食され, 汁物の約85%を占めていた。おかずは炒めものが多く, おかずの52%も占めていた。おやつの内容は小麦粉製品なかでもパンがよくとられていた。3.食餌調査の結果, 栄養別摂状況は脂質とビタミンは充分摂取されていて100%を越すが, その他の, 熱量, 蛋白質, カルシウム, 鉄は不足していた。食品群別摂取状況では, 充分摂取された食品群は一つもない。50%以下の摂取率になっている食品群は, 果物類, 乳類, 豆類, 砂糖類, 卵類, 淡色野菜類である。女子では更に, 魚肉類, 獣鳥肉類, 緑黄色野菜も加わり, 食品総摂取量が男女とも, 摂取めやすに対し52%と低値であった。栄養比率では動蛋比が40%前後であった。栄養素比率では熱量源の第1位が穀類, 蛋白質源も穀類, 脂質源は肉類, カルシウム源は乳類, ビタミンA源はミルク(A強化), ビタミンB_1源は穀類(パンにB_1強化), ビタミンB_2は乳類, ビタミンC源は乳類(C強化)となっていた。蛋白価は男子が80,女子が77であった。又, 一日の栄養素摂取取に対する。学校給食からの栄養素摂取量を比率でみた場合, カルシウム, ビタミンA, ビタミンB_1,ビタミンB_2は50%以上を占めていた。学校給食の給与量に対する摂取率をみると, パンは70%前後, ミルクは84∿97%, おかずは89∿100%であった。4.身体計測・身体症候調査の結果, 体位においては男子の発育は良好で, 全琉の体位に比して優れているが, 女子は僅かならが劣っている。身体症候発現率の有症者は調査人員の約1/4を占め, 特に毛孔性角化症が著明に多く, 他の有症率は少い。性別では男子が有症者が多い傾向であった。準都市地域学童との体位身体症候発現率の差異をみると男子では身長, 体重ともにまさっているが女子ではやゝ劣った傾向がみられた。