- 著者
-
五十野 博基
足立 真穂
稲葉 崇
- 出版者
- 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
- 雑誌
- 日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.2, pp.99-101, 2017-06-20 (Released:2017-06-21)
- 参考文献数
- 6
78歳女性が6ヶ月続く下痢を主訴に入院した.過去の検査から感染性腸炎や炎症性腸疾患,大腸腫瘍,甲状腺機能亢進症,副腎不全は否定的だった.かかりつけ医で8種類の内服薬を処方されており,前医下部消化管内視鏡検査(CF)で縦走潰瘍を認めたことからCollagenous colitis(CC)を疑った.ほぼ全ての薬剤を休薬したところ,13日後には下痢症状は消失した.CF再検査を本人が拒否されたため,CCの確定診断には至らなかった.退院後にプロトンポンプインヒビター(PPI)以外を再開しても症状の再発を認めないことから,PPIが原因と考えられた.PPIは,明確な適応が無いにも関わらず1年以上処方されていた.本症例から,第一に薬剤性のCCを疑った際には確定診断に至らずとも被疑薬を中止してみること,第二に薬剤有害事象の予防のため,日々薬剤の処方理由を再確認し,不適切処方を減らすことが重要であると考えられる.