著者
恩田 光子 宇鷹 瞳 倉山 慎太郎 山下 啓太 庄司 雅紀 荒川 行生
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.98-102, 2019-06-20 (Released:2019-06-26)
参考文献数
13

目的:薬局及びドラッグストアにおける受診勧奨事例を精査し,セルフメディケーション支援の意義を考察する.方法:薬局薬剤師,ドラッグストア薬剤師・登録販売者(薬剤師等)を対象に調査を実施した.主な調査項目は,回答者属性,風邪様症状の相談での受診勧奨の経験,受診勧奨の内容とした.結果:薬局薬剤師300名,ドラッグストア薬剤師57名,登録販売者56名から回答を得た.薬局薬剤師の87.7%,ドラッグストア薬剤師及び登録販売者の100%が受診勧奨の経験を有していた.84の受診勧奨事例で疑われた疾患は,インフルエンザ,副鼻腔炎,胃食道逆流症等で,結核,マイコプラズマ肺炎,脳梗塞の初期症状の事例等も含まれていた.結論:風邪様症状の相談者に対し,薬剤師等が受診勧奨することにより,適正な一般用医薬品等(OTC医薬品等)の選択のみならず,重大な疾患の早期発見に繋がることが示唆された.
著者
星野 智祥
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.369-382, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
70

日本は原爆による被ばく国として, また原発事故の当事国として, 深刻な放射線災害を経験してきた. その一方で, 日本は他の先進国と比べて国民の医療被ばくが多く, その主な要因は, 診断を目的としたCT検査が増え続けていることである. 福島原発事故が発生してから, 全国的に低線量被ばくと発がんのリスクについて議論が繰り広げられてきたが, 近年, 大規模コーホート研究において, CTスキャンからの低線量電離放射線による発がんリスクが明らかとなってきている. CTスキャンは短時間で解像度の高い画像が得られるため, 医療現場には欠かせない重要な診断技術となっているが, 患者の利益とリスクのバランスの上に立ち, CTが適切に使用されているのかどうか評価することがきわめて重要である. 病院総合医に求められる中核的能力には, 病院医療の質を改善する能力, 他科やコメディカルとの関係を調整する能力が含まれる. この観点から, 病院総合医が放射線科医や放射線技師らと協力し, CTの使用を正当化しながら, 不必要な被ばくを最小限にするためにはどのような役割を果たせるのか考察した.
著者
尾川 達也 藤本 修平 大門 恭平 石垣 智也 森本 信三 森岡 周
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.129-137, 2020-12-20 (Released:2020-12-29)
参考文献数
22

目的:リハビリテーション医療の共有意思決定(Shared Decision Making;以下,SDM)を測定する患者報告式尺度を開発し,理学療法領域での信頼性と妥当性を検討すること.方法:リハビリテーション医療に必要なSDMの要素に基づき,Shared Decision Making for Rehabilitation(以下,SDM-Reha)仮尺度を作成し,入院や外来,地域で理学療法を受けている患者を対象に調査した.結果:218名(年齢70.1±13.3歳)のデータから探索的因子分析を行い,1因子10項目からなるSDM-Rehaを開発した.内部一貫性はCronbachのα係数が0.94,再テスト信頼性はICC(1,1)が0.93と高く,併存的妥当性も良好であった.結論:SDM-Rehaはリハビリテーション医療のSDMを評価する指標として,信頼性と妥当性を有する尺度である.
著者
木本 正英 更屋 勉 新井 諒也 津島 寿幸 山西 行造
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.158-161, 2019-09-20 (Released:2019-09-25)
参考文献数
11

日常診療において,非ステロイド性消炎鎮痛薬(以下NSAIDs)経皮製剤(湿布)による消化管粘膜障害などの有害事象に十分留意はされていない.しかしながら,本来1~2枚の局所投与目的で使用すべきNSAIDs経皮製剤が,患者判断で複数枚連日長期使用されていることが少なくない.4枚を超える多数枚を常用すると,使用枚数に比例してNSAIDsの血中濃度が増加して経口剤同様に有害事象を発生させる可能性がある.今回,2年にわたり治癒が遷延した胃潰瘍が,経皮製剤の使用中止によりただちに治癒したという症例を経験した.①Helicobacter pylori(以下H.p.)未感染,②NSAIDs内服歴なし,③経皮製剤の処方が他院によるため未把握のまま常用されていた,という偶然が重なったことにより,経皮製剤が上部消化管の粘膜障害の原因となることを特定し得た.そこでこれを報告し,NSAIDs経皮製剤の危険性や適正使用について若干の文献的考察を行う.
著者
前田 雅子 前田 稔彦 松元 加奈 森田 邦彦
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.335-339, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

目的 : 診療時グラム染色検査の導入が抗菌薬の使用動向に影響を及ぼすかを検討することを目的とした.方法 : グラム染色導入前後での抗菌薬の種類・使用量の動向, 診療経過の動向を後方視的に調査した.結果 : 抗菌薬処方頻度 (100 人当たり) は, マクロライド系は20.9件 (2006年) から3.6件 (2012年) , 第三世代セフェム系は7.9件 (2005年) から2.4件 (2012年) に減少の一方, ペニシリン系は1.6件から3.9件に増加した. それにともなって1人当たりの抗菌薬消費額が約1/5に低下した. 小児急性副鼻腔炎患者50人当たりの抗菌薬不使用患者数は9倍に増加した一方, 治療期間中に抗菌薬2種類以上を処方された患者数は26名から9名に減少し, 治癒に要した日数は約6日間短縮された.結論 : グラム染色導入がよりよい抗菌薬使用につながる取り組みとなる可能性が示唆された. 多施設での研究的取り組みによる評価の必要性が考慮される.
著者
宮田 靖志
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.124-132, 2014 (Released:2014-06-27)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

臨床実践の現場には不確実性・複雑性が溢れており, 特にプライマリ・ケア医は診療の現場で日常的にこれらに遭遇する. 不確実性・複雑性への対処はプライマリ・ケア医に求められる特徴的な能力のひとつであり, プロフェッショナリズムの要素のひとつにも挙げられる. 不確実性・複雑性への対処は貴重な学習機会であり, 自己の成長につながる. クネビン・フレームワーク, 意思決定を共有する患者との良好なコミュニケーションにより, 不確実性・複雑性に対応するのが有用である.
著者
堤 円香 中村 明澄 前野 貴美 高屋敷 明由美 阪本 直人 横谷 省治 前野 哲博
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.291-296, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

目的 : 小中学生への喫煙予防教育と父母の行動変容との関連を調査した.方法 : 茨城県神栖市の小中学校7校で喫煙予防教育を実施し, 受講した生徒に学んだことを家で話すよう促した. 1か月後に生徒の親を対象に自記式アンケート調査を行い, 子供からタバコの話を聞いたか, この1か月のタバコに対する新たな行動変容の有無とその内容などを調査した.結果 : 1109家庭に2枚ずつ調査票を配付し1427名の有効回答を得た. 子供から話を聞いたのは794名 (55.6%) , 行動変容があったのは271名 (19.0%) であった. 具体的な内容は, 禁煙した, 本数を減らす, 子供の前で吸わないなどが挙がった. 行動変容の有無は, 子供から話を聞いたことに有意に関連していた (オッズ比3.3 (95%Cl 2.4-4.6)).結論 : 小中学生に対する喫煙予防教育の実施は, 本人のみならず父母のタバコに対する行動変容につながる可能性が示唆された.
著者
今西 孝至 岡村 美代子 川端 崇義 髙山 明 楠本 正明
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.92-99, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
9

目的:在宅医療における薬剤師の役割について全国のケアマネジャー(CM)にアンケート調査を行った.方法:日本介護支援専門員協会47都道府県支部に依頼状を郵送し,本調査に同意が得られた会員のみを対象とした.解析はテキストマイニングを用いた.結果:回答が得られたCMは206人で,医療職出身者が25%,介護福祉職出身者が75%であった.「薬剤師は在宅医療に必要か」の質問に90%のCMが「必要」と回答した.また,「必要」と回答した理由についてテキストマイニングによる解析の結果,医療職出身CMでは“指導”や“内服”,介護福祉職出身CMでは“相談”というキーワードが有意に出現した.結論:在宅医療における薬剤師の役割として,医療職出身CMは「患者・家族や他職種への指導について専門性を発揮すること」,介護福祉職出身CMは「服用薬や副作用に関する情報について相談に乗ること」に期待していることが明らかになった.
著者
孫 大輔 密山 要用 守本 陽一
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.136-139, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
5

地域志向性ケアの一つのあり方として「モバイル屋台de健康カフェ」プロジェクトを紹介する.家庭医・医学生である筆者らは,東京の「谷根千」地域と,兵庫県豊岡市でモバイル屋台による健康生成的なダイアローグを実践した.モバイル屋台は健康無関心層へのアプローチや多世代がつながる場として,「小規模多機能」な機能を発揮する可能性がある.
著者
尾川 達也 藤本 修平 小向 佳奈子 杉田 翔
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.53-59, 2018-06-20 (Released:2018-06-26)
参考文献数
25

目的:リハビリテーション領域におけるShared Decision Making(SDM)に必要な要素について,療法士の行動に焦点を当てて調査した.方法:理学療法士,作業療法士の計5名を対象にフォーカスグループインタビューを行った.分析はテーマ分析を用いてSDMに必要な療法士の行動について抽出した.結果:SDMに必要な行動として16個が抽出された.行動の特徴から情報提供(障害の説明,患者役割の説明,リハビリ目的の説明,選択肢の提示,患者意見の考慮,納得のいく説明)と,情報収集(知識の確認,好みの確認,期待の確認,生活方法の確認,希望の確認,理解の確認,質問の確認,提案に対する意見の確認,相違の確認,合意の確認)の2つに分類できた.結論:リハビリテーション領域における意思決定状況を踏まえた要素が抽出され,SDMを実践する際に必要な療法士の行動を示すことができた.
著者
安成 英文
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.285-288, 2014 (Released:2014-09-26)
参考文献数
1

在宅や施設における終末期ケアに関わるようになり本人や家族と同様ケアに当たるスタッフの不安を目にした. そこで, 病院以外の場所での看取りのケア向上のために多職種, 多事業所で看取りの経験を振り返る作業を試みた. 参加者からの意見収集方法に改善を加えた結果, 多様な意見を収集でき継続的に開催可能な手法を紹介する. 本手法はケア当事者には振り返りの作業, 参加者には模擬体験, そして参加者同士の相互承認の場に, ひいては地域住民の地域肯定感へと寄与しうると考えている.
著者
星野 智祥
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.228-242, 2015 (Released:2015-09-28)
参考文献数
38

高齢になるにつれ不眠症の有病率は高くなることが知られている. しかし, 不眠症治療の主要な対象となりうる高齢者は薬理学的にその副作用を被りやすいと考えられるが, 忙しい現在の診療システムの中では, その有益性とリスクについて十分な説明がないまま薬物治療が安易に導入されやすい傾向にある. そこで, 我々はベンゾジアゼピンを中心とする睡眠薬が高齢者の健康にどのような影響を与えるのかPubMed検索で調査を行い, リスクや有益性という観点から現在のエビデンスを示し, 睡眠薬の適正使用に貢献したいと考えた. その結果, 高齢者に対する睡眠薬の使用は認知症の発症や, 転倒による骨折や外傷のリスクを増加させる可能性があることが示された. さらに, 短期的な使用では睡眠の質改善効果は期待できるものの効用は小さく, 長期的な使用ではその有益性に十分なエビデンスがないことが示された. 今後, 睡眠薬の使用は短期的な効用を期待するだけでなく, そのリスクを勘案して適正使用していく必要がある.
著者
松下 明 田原 正夫 吉本 尚
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.349-354, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
12

目的 : 高齢男性は支援や介護を要する状態となっても社会資源利用を好まず, 家に閉じこもりがちとなるケースが散見される. こういった背景から高齢男性の心理状態を評価及び分析し, 社会的関わりを促す具体的な方策を提言することが本研究の目的である.方法 : 岡山県勝田郡奈義町在住の75歳以上男性を対象に質的研究を行い, データ収集を2段階にて実施した. 一つは奈義町内の3地区に行われたフォーカスグループで, もう一つは個別に行われた半構造化インタビューである. 文章化されたインタビュー内容は修正版グラウンデッド・セオリーアプローチ (M-GTA) で分析・比較検討され, 概念化された.結果 : 高齢男性の社会的参加に関する心理的背景要因として, 内的要因 (役割へのこだわり・老いの受容) , 関係性の要因 (女性参加者・スタッフとの関係) , 外的要因 (経済・交通手段) が3つのカテゴリーとして示された.結論 : 関係性の要因と外的要因を中心に介入を行うことで, 高齢男性の社会的関わりを改善することが可能と思われた. 行政への10の提言を行った.
著者
土田 知也 家 研也 西迫 尚 松田 隆秀
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.134-140, 2019-09-20 (Released:2019-09-25)
参考文献数
21

背景:特定の臓器に偏らず幅広い視野で患者を診ることができる総合診療医が日本には必要であるものの認定制度開始は近年のためその育成は急務である.目的:総合診療に興味を持ちつつ臓器別専門医を選択した医師にインタビューを行い,「進路決定に関する要因」を抽出し,より理想的な総合診療研修の方法を検討する.方法:2017年4月~2018年4月,5名の対象者へ現在のキャリア選択に至った経緯について半構造化面接をおこない逐語録化されたデータを,修正グラウンデットセオリーアプローチを用いて分析した.結果:臓器別専門医選択の理由は「学問としての魅力」「他の医師から頼られる存在」「専門性を得る安心感」があがり,総合診療医の障壁として「将来の不安」「臓器別専門医からの批判」などがあがった.結論:より理想的な総合診療研修のためには,充実した地域医療研修や専門医制度の確立,総合診療再研修の提案・実践を行うことが必要である.
著者
佐々木 春喜
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.191-197, 2013 (Released:2013-10-04)
参考文献数
17

臨床検査において感度・特異度などベイズの定理が利用されていた. 近年, 病歴や身体所見の尤度比が報告されるようになり, ベイズの定理を用いたベッドサイドで確率的推論が可能になってきた. ベイズの定理の意味を再確認し, ベッドサイドで加法と乗法を用いた簡便な実用的2段階法を示した.
著者
大嶋 繁 山田 真理絵 根岸 彰生 大島 新司 齋木 実 小林 大介
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.175-178, 2016 (Released:2016-09-21)
参考文献数
4

薬剤師の在宅業務の充実を目的として, 在宅患者の症例を基に作成したシナリオおよび高機能患者シミュレータを用いた『フィジカルアセスメントアドバンス講習会』を行った. その際シナリオを用いた演習を行い, 薬剤師が在宅で実施すべき項目 (在宅業務必須項目) の実施率 (実施者数/受講者数) を, 訪問薬剤管理指導料の算定要件等を基に作成したチェックシートを用いて調査したところ, 項目ごとの差が大きかった. 本調査結果から薬剤師が在宅業務を実施する上で, 患者の生活を支えることを意識した薬学的管理業務のトレーニングの必要性が示唆された.
著者
鈴木 幸恵
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.121-126, 2015 (Released:2015-06-25)
参考文献数
13

目的 : DNAR意思表示のある終末期がん患者の臨死時に救急車要請となった理由を救急救命士へのインタビューにより把握した内容から明らかにする.方法 : 某都道府県の救急救命士19名への半構成的面接. 音声録音により逐語録を作成し, 質的分析を行った.結果 : DNAR意思表示のある終末期がん患者が臨死時に救急車要請となった理由として, 《DNARに関する社会的整備が未確立》, 《救急車の役割に対する認識不足》, 《看取りのための医療支援が不十分》, 《介護施設での看取り体制が不十分》, 《救急隊に頼れば何とかなるという認識》, 《在宅死を避けたい家族の思い》, 《家族の動揺》の7つが明らかとなった.結語 : DNARに関する社会的整備未確立の背景があり, DNARの意思を尊重した看取りへの医療支援が不十分であることや家族側の要因によってDNAR意思表示のある終末期がん患者が臨死時に救急車要請となることが示唆された.
著者
押切 康子 杉澤 秀博
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.85-91, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
14

目的:多剤併用の高齢患者の服薬に対する不安とその関連要因を明らかにすることである.方法:慢性疾患で定期的に6剤以上処方されている65歳以上の患者9名に半構造化面接を行った.この質的データをSteps for Coding and Theorizationを用いて分析した.<>は概念,≪≫はコンポーネントを示している.結果:服薬に対する不安の要因には≪医療職の支えの欠如≫と≪薬剤についての否定的な経験・理解≫があった.他方,<服薬の自己調節>と<医師への訴え>という≪不安への対処の試み≫を行った人は不安をもっていなかった.不安を抱かなった人では≪医療職の支え≫と≪多剤併用の肯定≫が不安を抑制するように働いていた.結論:多剤併用を受けている高齢患者の服薬への不安は服薬の自己調整につながる可能性があることから,医療職は多剤服用に対する患者の不安を理解し,解消に向けての働きかけが必要である.
著者
渡邉 秀寿 川村 正太郎
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.44-45, 2017-03-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
5

潰瘍性大腸炎の初回診断時に一過性全健忘を呈した症例が,潰瘍性大腸炎の再燃時に一過性全健忘の再発作をきたした.精神的ストレス,疼痛等が一過性全健忘の誘因となると報告されているが,潰瘍性大腸炎の再燃も誘因となる可能性が示唆された.プライマリケア医を含め,潰瘍性大腸炎の治療に携わる医師は一過性全健忘の合併につき知っておく必要がある.
著者
可知 悠子 井上 真智子 川田 智之
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.214-218, 2016 (Released:2016-12-26)
参考文献数
18

目的:近年, 低所得層が増加し, 受診抑制による健康悪化が懸念されている.本研究では, 経済的理由による受診抑制に関する医師の認識ならびに, 受診抑制を防ぐ工夫をより多く行っている医師の特徴を明らかにすることを目的とした.方法:都内10区2市の全内科診療所1989箇所の医師各1名に郵送調査を実施し, 患者の受診抑制の経験, 受診抑制を防ぐ工夫, 基本属性などの約60項目を尋ねた.結果:回答の得られた617名のうち(回収率31%), 550名(男性454名)を分析対象とした.約9割の医師が患者の受診抑制を認識しており, 「安価な薬を選択する」といった受診抑制を防ぐ工夫を行っていた.こうした工夫をより多く行う医師は40・50歳代, 総合診療の立場, 患者同意・参加型の治療の意思決定の実践, 受診抑制をより多く経験という特徴を持っていた.結論:総合的診療や患者参加型の治療の意思決定といったプライマリ・ケア機能を重視する医師ほど, 受診抑制を防ぐための診療上の工夫をより多く行っていることが示唆された.