著者
新開 英秀 江副 正輔 重谷 昇 入江 聖義 泉 隆 穴井 重男
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.1565-1572, 1994-09-01
被引用文献数
8

X線検査, 特に透視撮影装置における患者被曝線量を測定する目的で試作した二重電極型電離箱・増幅器の概要を述べ, この特性に関する基礎実験の結果について言及した.1)電離箱は0.1mmポリエステルフィルムと15μm厚のアルミニウム箔を使用し壁厚を極力薄くしたため, アルミニウム当量も0.13±0.01mmAlとなり, 線質依存性はX線検査に多用される60kV〜120kVの範囲では実用上問題にならない範囲であると考える.2)線量特性については60kV, 80kV, 100kV, 120kVでよく直線性が保たれている.3)電極間距離を5mmとして, 低電圧でも十分な収集効率が得られるようにしたため, 透視撮影装置で使用する線量率の範囲[4×10^<-4>(C/kg)/sec〜55×10^<-4>(C/kg)/sec]でもそれぞれ-2%, -6%以内の線量率依存性となり, よい特性を示した.4)集電電極(1)の電離箱は4cm×4cm以上の面積で, 集電電極(2)の電離箱では13cm×13cm以下の面積で使用すれば, この二重電極型電離箱の使用目的を十分発揮できることになる.通常の透視撮影装置においては, この条件を満たすものと考える.5)増幅器も線量計として十分な性能をもつものが製作できた.この二重電極型電離箱を可動絞り前面位置に取り付けることにより, 透視検査時の照射線量・面積照射線量の測定が可能である.われわれは, この線量計を8台の透視撮影台に設置し臨床使用している.