著者
内藤 多仲 那須 信治 竹内 盛雄 窪田 吾郎
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.301-304, 1958

英国 Calder Hall型動力用原子炉はその構造に耐震的考慮が払われていないために、我が国に設置し、使用する場合には、なるべく内部構造を変えずに耐震的にすることが望ましい。この研究は、この動力用原子炉の炉心部Graphite pileの耐震構造として、鉄籠で補強する計画に基き、主として実験的に行われたものである。実験にはGraphiteの部分を石膏模型で造り、補強用の籠として鋼及びアルミニュームのものを用いた(第1図及び写真-1,2)。静的と動的の二様の加力方法によつて各々の場合の補強籠各部材に起る応力及び全体の変形を実測して比較検討した。一方これと平行して実物の設計用計算式を検討する目的で、圧縮側及び引張側のブレイシングの効き方を実験的に研究した。試験結果としては、静的加力時に比して動的加力時の斜材応力は何れも小さく、応力、変位共簡単な従来の静的な計算方法により近似値を得ることができる。又数日間に捗る振動実験にも拘らず石膏の損傷は殆んど見られず、ほぼ初期の状態を保つた。ブレイシングの効き方については、圧縮側の部材は引張側の約半分の荷重を負担し得ることが分つた。これらのことから総合的に考えれば、一応補強計画はさ程困難とは思われない。