著者
大橋 正治 立田 光廣 白木 和之 田嶋 克介 辻川 恭三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.724-735, 1995-12-25
被引用文献数
8

近年,光ファイバアンプの出現により,波長1.5μm帯での長距離大容量伝送実験の報告が多くなされている.このような状況において,更に高度な伝送システムを実現するために,光ファイバの低損失化は従来にも増して重要な課題となってきている.光ファイバの損失を減少させるためには,レイリ-散乱損失,赤外吸収損失および構造不整損失の減少が必要である.レイリ-散乱および赤外吸収は,用いるドーパントによって決まる.一方,構造不整損失は,光ファイバの製造技術のみならず,コアおよびクラッドの粘度特性の影響も受ける.構造不整損失を低減する手段として,コアとクラッド両者の粘度を整合させることが効果的である.しかしながら,これまで粘度整合設計法に関しては明らかにされていない.本論文においては,まず光ファイバ断面内の粘度整合設計法について述べる.つぎに,GeO_2,F,GeO_2とFを添加した石英ガラスの粘度特性およびレイリ-散乱特性を実験的に明らかにする.更に,本設計法を用いて設計,作製した粘度整合光ファイバの諸特性について述べ,その効果を明らかにする.