著者
竹下 覚
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1.近紫外励起用赤色発光Yvo_<4<:Bi^<3+>,Eu^<3+>ナノ蛍光体Yvo_<4>:Bi^<3+>,Eu^<3+>ナノ蛍光体を用いた太陽電池用波長変換材料を作製し、作製条件の最適化を行ったのち、シミュレーションと実験の比較を行った。その結果、より高効率な波長変換を実現するためには、波長変換層による反射」損失をさらに抑制する必要があることを明らかにした。また、実用化に向けた耐久性評価のため、ナノ蛍光体・ポリマー複合膜の長期耐光性試験を実施したところ、発光強度の特異な時間変動現象を発見した。この現象の起源について追究し、ナノ蛍光体が光触媒とよく似た作用によってポリマーを光分解していることを明らかにした。2.近紫外励起用緑色発光Zn_<2>GeO_<4>:Mn^<2+>ナノ蛍光体ソルボサーマル法によって作製したZn_<2>GeO4:Mn^<2+>ナノ蛍光体において、Mn^<2+>イオンの分布状態が発光特性に与える影響を調べるため、反応機構および粒子生成プロセスを解析した。その結果、Mn^<2+>イオンが粒子表面に偏析し、Mn2+間のエネルギー移動に起因する蛍光強度の低下(濃度消光)が生じていることを明らかにした。3.近紫外励起用赤色発光アパタイトナノ蛍光体近紫外励起用赤色発光ナノ蛍光体の応用の幅を広げるため、Yvo_<4>:Bi^<3+>,Eu^<3+>ナノ蛍光体よりも高い生体親和性を有するEu^<3+>ドープアパタイトに着目した。フランスCIRIMAT Instituteに3ヶ月間滞在し、当該分野の専門家であるDr.Christophe Drouetのもとで研究を行った。Eu^<3+>ドープアパタイトナノ粒子の合成法はすでに確立されているが、分散安定性が低く、強く凝集したナノ粒子が得られるという問題を抱えている。そこで、ナノ粒子の凝集・分散を制御する手法を探究し、親水性高分子鎖を有する配位子で表面修飾することで、分散安定性の高いナノ粒子が得られることを明らかにした。