著者
村上 周子 柴谷 雅美 竹内 宏佑 SKARZYNSKI Dariusz J. 奥田 潔
出版者
Japanese Society of Animal Reproduction
雑誌
The Journal of reproduction and development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.531-538, 2003-12-01
被引用文献数
5 24

ウシ子宮内膜を構成する上皮細胞および間質細胞のプロスタグランディンF2α(PGF)合成は、それぞれオキシトシン(O;上皮細胞)、および腫瘍壊死因子(NF;間質細胞)により促進される。本研究では、ウシ子宮内膜から単離し、継代培養および凍結保存した上皮ならびに間質細胞が子宮機能の解析に供することができるかを、OおよびNFに対するPGF合成の反応性から検討した。ウシ子宮(発情周期Days2-5)より単離した内膜上皮および間質細胞をPrimary細胞とし、約半量を培養、残りの半量を凍結後(-80C)、融解、培養した。また、Primary細胞を4回継代培養し、継代ごとに細胞の半量を次の継代に用い、残りの半量を凍結後、融解、培養した(Passage 1-4)。コンフルエントに達した後、NF(1ng/m1)またはO(100ng/m1)を添加し、4時間培養後、上清中のPGF濃度を測定した。継代および凍結融解した細胞に形態的な変化は認められなかった。間質細胞のPGF基底合成能に凍結および継代の影響は認められなかったが、凍結により上皮細胞の基底合成能は有意に低くなった。また、上皮細胞のみPassage2以降に基底合成量が有意に低くなったが、上皮はPassage2まで、間質はPassage4までそれぞれO、NFへの有意な反応性を示した。以上から、上皮細胞は1回まで、間質細胞は少なくとも4回まで継代および凍結保存しても子宮機能の解析に十分なPGF合成能を有することが明らかとなった。