著者
浜 夏樹 黄 炎 兼光 秀泰 大山 裕二郎 馬 強 羅 波 李 果 太田 宜伯 楠 比呂志 川上 博司 Tomas J. ACOSTA 奥田 潔 王 鵬彦 石川 理
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.119-123, 2009 (Released:2018-05-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1

神戸市立王子動物園のジャイアントパンダにおいて2007年の発情時に新鮮および冷蔵保存した精液を用いて3日間連続で人工授精(AI)を行った。AIの適期は尿中エストロングルクロニド濃度の測定から推測した。人工授精後は尿中プレグナンジオールグルクロニド(PdG)濃度の変化を監視した。PdG濃度は妊娠後期に過去6年間と比べると異常な変動を示した。結果的に最終AI後137日目に破水し,さらにその9日後に死産した。
著者
田崎 ゆかり 李 和容 崔 健平 アコスタ トマス J. 奥田 潔
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.103, pp.55, 2010

【目的】黄体後期のウシ子宮由来プロスタグランジン F2&alpha; (PGF) は強力な黄体退行誘導因子として知られている。子宮の PGF と卵巣のオキシトシン (OT) の間には正のフィードバック機構が存在することが報告されている。しかし、我々はウシに OT アンタゴニストを PGF と同時に投与しても PGF の分泌は抑制されず、むしろ刺激されることを見出した。このことから PGF 分泌に OT は必須でなく、子宮で合成される PGF が局所調節因子として PGF 分泌に作用するという仮説をたてた。本研究では上記の仮説を証明するためにウシ子宮内膜における PGF 分泌への PGF の関与について多角的に検討した。【方法および結果】1) 発情周期各期 (排卵日: Day 0、黄体初期: Days 2-3、黄体形成期: Days 5-6、黄体中期: Days 8-12、黄体後期: Days 15-17、卵胞期: Days 19-21) の子宮内膜組織における PGF レセプター (<I>FPr</I>) mRNA およびタンパク発現を調べた。<I>FPr</I> mRNA 発現は黄体初期と比較して卵胞期に高く、タンパク発現は黄体初期と比較して黄体後期に高かった。また、黄体後期の子宮において FPr タンパク局在は子宮内膜上皮細胞、腺上皮、血管内皮細胞とその周辺ならびに子宮平滑筋にみとめられた。2) 黄体後期の子宮内膜組織における PGF 分泌におよぼす PGF (0.01-1 &mu;M) の影響を組織培養により検討し、EIA により解析した。PGF は黄体後期のウシ子宮内膜組織の PGF 分泌を濃度依存的に刺激した。また、PGF (1 &mu;M) の影響を黄体初期、中期および後期で比較したところ、黄体後期に強かった。さらに、PGF は単離したウシ子宮内膜上皮細胞における PGF 分泌を有意に促進したが、間質細胞に有意な影響をおよぼさなかった。【総括】ウシ子宮内膜によって合成される PGF が局所調節因子として子宮内膜上皮細胞における PGF 分泌を刺激する「自己増幅機構」の存在すること、また、ウシ子宮における PGF の自己増幅は黄体後期に強いことが示唆された。
著者
村上 周子 柴谷 雅美 竹内 宏佑 SKARZYNSKI Dariusz J. 奥田 潔
出版者
Japanese Society of Animal Reproduction
雑誌
The Journal of reproduction and development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.531-538, 2003-12-01
被引用文献数
5 24

ウシ子宮内膜を構成する上皮細胞および間質細胞のプロスタグランディンF2α(PGF)合成は、それぞれオキシトシン(O;上皮細胞)、および腫瘍壊死因子(NF;間質細胞)により促進される。本研究では、ウシ子宮内膜から単離し、継代培養および凍結保存した上皮ならびに間質細胞が子宮機能の解析に供することができるかを、OおよびNFに対するPGF合成の反応性から検討した。ウシ子宮(発情周期Days2-5)より単離した内膜上皮および間質細胞をPrimary細胞とし、約半量を培養、残りの半量を凍結後(-80C)、融解、培養した。また、Primary細胞を4回継代培養し、継代ごとに細胞の半量を次の継代に用い、残りの半量を凍結後、融解、培養した(Passage 1-4)。コンフルエントに達した後、NF(1ng/m1)またはO(100ng/m1)を添加し、4時間培養後、上清中のPGF濃度を測定した。継代および凍結融解した細胞に形態的な変化は認められなかった。間質細胞のPGF基底合成能に凍結および継代の影響は認められなかったが、凍結により上皮細胞の基底合成能は有意に低くなった。また、上皮細胞のみPassage2以降に基底合成量が有意に低くなったが、上皮はPassage2まで、間質はPassage4までそれぞれO、NFへの有意な反応性を示した。以上から、上皮細胞は1回まで、間質細胞は少なくとも4回まで継代および凍結保存しても子宮機能の解析に十分なPGF合成能を有することが明らかとなった。
著者
田村 隆 揖斐 隆之 稲垣 賢二 久保 康隆 奥田 潔
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:21867755)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.1-5, 2016-02-01

This study investigated the current status and causes underneath the life of university students who tend to lack breakfast at a relatively high frequency, and statistical analysis on consequences leading to such lack of well-nourished eating habitat in their university life. In October 2014, self-assessed questionnaires were administered to over 150 faculty students. It contained questions about breakfast habits, time allowance for the morning class, and lunchtime setting in their high school timetable. Breakfast states were clearly separated in three groups : 68% of students regularly have breakfast throughout the weekdays, 21% students skipping the breakfast occasionally, and 11% student no habit for breakfast at all. The survey on the high school lives revealed that 70% students used to have lunch 30 min later than the lunchtime set in the university timetable, 7% of them had the lunch time even more than 1 h later. Lunchtime varies among high schools, and statistical significance was revealed (p<0.01) that schools with higher deviation scores tend have late lunch beyond 12: 30. Accordingly, university students were given directions to prepare for the timetable reform on postulation of having lunch time over one o'clock. After continuous survey on the breakfast habits during the second semester, more than 90% of students established the habit of breakfast regularly in their university lives with the improved consciousness toward well-balanced healthy breakfast contents for their higher level of education quality.
著者
若宮 香理 小林 芳彦 Acosta Tomas J. 高橋 昌志 奥田 潔
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第103回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2010 (Released:2010-08-25)

【目的】Prostaglandins(PGs) は,生殖機能の調節に重要な役割を果たしている生理活性物質であり,多岐の作用が知られている。なかでも,PGE2は初期胚の発育環境を最適に保つ因子であることが報告されている一方で,子宮内膜から分泌される PGF2α(PGF) は胚の生存および発育を抑制し,妊娠率を低下させることが知られている。また,PGE2およびPGFはともに,受精卵の移送に重要な卵管の収縮運動に関係していると考えられている。ウシにおいて,夏期の気温上昇による暑熱ストレス (heat stress; HS) は,卵胞の発育異常による排卵障害,初期胚の死滅などを引き起こし,妊娠率を低下させることが報告されている。さらに,HSは初期胚の発育の場である卵管に影響を与え,初期胚の生存性に影響を与える可能性も考えられる。本研究では,卵管の機能に及ぼすHSの影響を明らかにするために,培養ウシ卵管上皮細胞を用いて以下の検討を行った。【方法】排卵後 0-5 日の卵管から単離した卵管上皮細胞を播種し,1)細胞接着後,培養液を交換した時間を 0 日とし,通常の培養温度(37.5℃)を control 区,39℃ (HS39) および 41℃ (HS41) をHS 処理区とした。HS 処理 1-4 日後に細胞を採取し,DNA assay により卵管上皮細胞の増殖を検討した。2) コンフルエントに達した卵管上皮細胞を control 区,HS39およびHS41で培養した。HS 処理 4,24,48 時間後の培養上清中PGE2およびPGF濃度をEIAにより測定した。なお,PGs 濃度は DNA (µg) あたりに換算した。【結果】1) Control 区と比較して HS41 で細胞増殖率が有意に低下した (P<0.05)。2) PGE2濃度は HS 処理 4 時間後に control 区と比較してHS41 で有意に減少し,PGF濃度は HS 処理 24 時間後に control 区と比較して HS39 で増加した(P<0.05)。本研究において,HS は卵管上皮細胞の増殖率を低下させ,卵管内における受精卵移送を困難にするとともに,PGE2 濃度の減少および PGF 濃度を増加することにより,初期胚の発達に悪影響を与え,繁殖率を低下させている可能性が示された。
著者
宮本 元 眞鍋 昇 宮川 恒 杉本 実紀 眞鍋 昇 九郎丸 正道 奥田 潔 木曾 康郎 宮本 元
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

人類が200年以上にわたって創り出してきた農薬、食品添加物等の多くの化合物が、生体の内分泌系のシグナル伝達を攪乱する内分泌攪乱物質として人類の生存を脅かすことが分かってきた。新規な原理に基づいた非侵襲的かつリアルタイムに生殖毒性を評価できる技術システムを構築し、従来法とは比較できない精度で速やかに生殖毒性を評価できる先端技術を確立することで、化合物の生殖毒性を的確に評価できる未来を開拓する基盤技術を開発することが本研究の目的である。本年度は、内分泌撹乱物質とホルモン受容体の結合様式、受容体分子の立体構造変化等を解析し、環境系に存在する様々な化合物の生殖毒性をリアルタイムに評価するシステムの確立を目指して研究を進めた。麻酔下の生きている動物をNMRシグナルを定量検出できる特殊な生体NMRプローブに保定し、胎児におけるNMRシグナルを部位特異的にリアルタイムに観測して、このデータをワークステーションにて3次元立体画像データに再構築して解析できる測定アプリケーションの作成と最適測定条件の決定を行った。毒性発現機構の生殖生理学的解明のため、遺伝子工学的にオーファン受容体に様々な構造変異を誘導し、化合物と受容体の相互的結合特性をNMRにて観測して分子構造学的に毒性を予測する技術を開発している。加えて、卵母細胞を包み込んで保育する卵胞は遺伝子に制御された細胞死によって選択されているが、これを調節している細胞死受容体のシグナルを制御している細胞内アポトーシス阻害因子(cFLIP)を新たに見いだし、これを介した細胞死シグナル伝達機構を解明し、分子レベルで化合物を評価する系を開発した。
著者
Korzekwa Anna J. 奥田 潔 Woclawek-Potocka Izabela 村上 周子 SKARZYNSKI Dariusz J
出版者
THE SOCIETY FOR REPRODUCTION AND DEVELOPMENT
雑誌
The Journal of reproduction and development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.353-361, 2006-06-01
被引用文献数
9 54

We previously showed in <i>in vivo</i> and <i>in vitro</i> studies that nitric oxide (NO) is engaged in luteolysis in cattle. Nitric oxide produced locally in the bovine corpus luteum (CL) inhibits progesterone (P4) synthesis and is suggested to be a component of the luteolytic cascade induced by uterine prostaglandin (PG) F<sub>2</sub><sub>α</sub>. In the present study, the molecular mechanisms of NO action during structural luteolysis were studied in cultured bovine luteal cells (Days 15-17 of the estrous cycle). The effects of the NO donor (NONOate; 10<sup>-4</sup>M) on DNA fragmentation, cell viability, P4 production and caspase-3 activity were compared with those of PGF<sub>2</sub><sub>α</sub> (10<sup>-6</sup>M). Moreover, mobilization of intracellular calcium [Ca<sup>2+</sup>]<sub>i</sub> and gene expressions of Fas-L, Fas, bcl-2, bax, and caspase-3 in the cells were determined by semi-quantitative RT-PCR after NONOate treatment. Caspase-3 activity was examined calorimetrically. Contrary to PGF<sub>2</sub><sub>α</sub> NONOate decreased cell viability. DNA fragmentation after NONOate treatment increased by more than with PGF2<sub>2</sub><sub>α</sub>. NONOate increased mobilization of [Ca<sup>2+</sup>]<sub>i</sub> in the cells. Although the NO donor did not affect Fas-L and bcl-2 gene expression, it stimulated Fas and bax mRNA and caspase-3 expression. The ratio of bcl-2 to bax mRNA level decreased in the cells treated with NONOate. Moreover, NONOate stimulated caspase-3 activity more effectively than PGF<sub>2</sub><sub>α</sub>. The overall results suggest that NO is a luteolytic factor that plays a crucial role in regulation of the estrous cycle in structural luteolysis by inducing apoptosis of luteal cells in cattle.<br>