著者
竹内 晴彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1125-1126, 1988-09-12

我々は、感覚器官を通して得た情報を、適切な言葉で表現することができる。例えば、洗いたての柔道着に触れた感触を「ごわごわした」と表現し、選挙カーから流れてくるウグイス嬢の声を「かん高い」と表現する。このプロセスは、一見、非常に単純に見えるが、実際には、感覚情報と言語的知識とを結び付ける、極めて高度な情報変換プロセスであるといえる。エキスパートシステムの設計においては、専門家からの知識抽出を行う。これに対し、筆者は、普通の人が、特定の文化のもとで常識として持っている言語的知識を抽出し、自然言語処理システムの知識ベースとして利用することに関心がある。本稿では、人が共感覚表現に対してどのような認知構造を持っているかを調べ、その知識を利用した共感覚表現の理解・生成モデルについて検討する。