著者
寺崎 寛章 仇 啓涵 竹崎 寛之 福原 輝幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1663-I_1668, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
17

本研究では,東日本大震災で津波を受けた塩害水田が降雨によって自然に除塩される過程を明らかにするために,最長2年6ヶ月にわたって宮城県名取市,岩沼市および亘理町沿岸の塩害水田の土壌塩分量を調べた. その結果,(1)浸水から約半年後における地表近傍の塩化物イオン(Cl-)濃度は稲作許容Cl-濃度の数倍から数百倍に達した.その後,Cl-濃度は時間経過に伴い減少し,浸水から2年以上経過すると,鉛直分布の時間変動は小さくなった.(2)津波浸水高が3.5m以下(海岸から直線距離で1.5km以上)の水田の根域(深さ300mmまで)の総土壌Cl-濃度は,浸水から1年程度で稲作許容Cl-濃度以下となった.(3)稲作許容Cl-濃度以下に達する日数とその間の積算降水量および津波浸水高との関係が定量化できた.