著者
木下 眞二 竹川 忠男
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.13-20, 1999

短調のメロディーが哀しく聞こえることについての、明らかな理由は未知であるように思われる。人間が(あるいは、動物でも)気分の高揚しているとき、声または器具を用いて、音によって、そのことを表現するには、次の3つの様式がある。一つは、音のリズムを速めること、一つは、音の大きさを強くすること、そして、もう一つは、音の高さを上げることである。これに対して、哀しい感情(沈んだ情緒)を、表現しようとするときも、通常、次の3つの様式がある。一つは、音のリズムを遅くすること、一つは、音の大きさを弱くすること。そして、もう一つは、音の高さを下げることである。一つの(振動数が一定に固定した純)音が、1オクターブ以内の範囲で、次の低い音に移行する場合、初めの音に対して、最も旋律的に調和する、2つの下行音の振動数比率は、2/3と、4/5である。このような、心理学的、物理学的方法を用いて、短調が哀しく聞こえる理由を、明らかにすることが試みられた。とくに、短調音階におけるSolの音(第7音)が、短調の哀しい情緒に及ぼす効果について、考察が加えられた。