著者
大沼 学 鈴木 正嗣 内田 英二 新山 雅美 大泰司 紀之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.s・vii, 309-313, 2002-04-25
被引用文献数
1 12

1998年8月から1999年7月にかけて,3頭の非妊娠,雌マレーグマ(Helarctos malayanus)を対象に糞中から検出されるエストラジオールの定量を,マレイシア国サラワク州において実施した.また,それに加えて膣粘液中に見出される細胞の観察を1998年8月と1999年3月にマレーグマ1頭を対象に行った.3頭の糞中エストラジオール濃度は,1998年8月または9月にピークが観察された.また,膣粘液中に観察される角化上皮細胞の出現割合は,1998年8月の数値が1999年3月のものより高かった.これらのことからマレイシア国サラワク州において,マレーグマはエストラジオールの濃度がピークをむかえる8月から9月ごろに発情している可能性が示唆された.
著者
籠田 勝基 岩瀬 俊男 小島 敏之 新山 雅美 波岡 茂郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.131-138, 1979-04-25

非タンパク態窒素化合物の豚発育に及ぼす効果を知るために, クエン酸2アンモニウム(DAC)を用いて豚の飼養試験を実施した. 給与飼料は厳しい低タンパクの条件のもとで, 必須アミノ酸はNRC標準の要求量を満たすように添加し, 非必須アミノ酸が窒素の制限因子となるように設計された. すなわち, 1) 粗タンパク(Cp)含量6.4%, 非必須アミノ酸制限(基礎飼料区). 2) 基礎飼料+DAC 3.6%添加(DAC区). 3) DAC区とCPを等しくしたDAC無添加区(Positive Control, PC区)である. 消化エネルギーは各区とも3.3kcal/gとした. 平均体重22.5kgのsecondary SPF豚12頭を4群に分け, それぞれ単飼ケージに収容し, 1日2回の制限給餌で28日間飼養した. 日増体重および飼料要求率の測定とともに窒素代謝試験とHt, TP, BUNおよび血中アンモニアを測定した. DAC区の平均日増体重は508gで基礎飼料区の426gおよびPC区の455gより有意に高い値を示した(P<0.05とp<0.10). 飼料要求率は基礎飼料区3.14, DAC区2.86およびPC区2.94で基礎飼料区が他の区より高い傾向を示した. Ht, TPおよび血中アンモニアは何れの区でも正常範囲内にあり, 臨床所見からもアンモニア中毒は認められなかった. 以上の成績から, 非必須アミノ酸を制限因子とした飼養条件下ではDACが豚の発育に利用されることが明らかとなった.