著者
山根 光知 青山 正 桃原 寛典 榎本 尚助 服部 晶子 野々垣 幹雄 竹市 広 足立 裕史
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.403-407, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)
参考文献数
13

40歳の妊婦が発熱,腹痛を主訴に前医を受診し,常位胎盤早期剥離およびhaemolysis, elevated liver enzymes, low platelet count(HELLP)症候群の疑いで当院に救急搬送され,緊急帝王切開術を施行した。問診および術中所見から劇症型溶連菌感染症による「劇症分娩型」を疑い,アンピシリン,クリンダマイシンによる抗菌薬治療を術中から開始した。血液検査では溶血性貧血,腎機能障害を認め,血栓性微小血管症の合併が疑われ,早急に血漿交換を含む集学的治療を開始した。治療開始とともに全身状態が改善し,第7病日にICUから退室し良好な転帰を得られた。早期の抗菌薬治療の開始,昇圧薬投与,輸血療法,血漿交換を含む集学的治療により救命できたと考えられた。