著者
竹村 民千佳 服部 律子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
岐阜県立看護大学紀要 (ISSN:13462520)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.3-14, 2018-03

本研究の目的は、妊娠糖尿病妊産婦(以下、妊産婦とする)がセルフケア行動を習得することを目的とした支援マニュアルを考案し、助産師が多職種の支援を活かした実践を通して、助産師の支援のあり方を検討することである。 支援の現状把握を目的に、医療スタッフへ質問紙調査及び褥婦へ聞き取り調査を実施した。さらに現状調査の結果を踏まえ、多職種による学習会を開催し、支援マニュアル(以下、マニュアル)を作成した。最終的に、筆頭筆者が中心となり、妊産婦に対してマニュアルを活用した支援を行い、取り組み後の評価として医療スタッフへの質問紙調査及び褥婦への聞き取り調査を実施した。 医療スタッフ(44 名)への現状調査から、支援で困難であった経験は【多職種連携】という意見があり、褥婦(4 名)への聞き取り調査から【児に与える影響への不安】という発言を得た。不安を抱えた妊婦に対して、助産師が多職種の支援を活かした実践を行うために、妊娠期から産褥期における支援の目標や手順を示したマニュアルを作成した。マニュアルを活用した支援を、妊産婦(7 名)に実施した。5 名は経腟分娩、2 名は帝王切開で出産した。7 名全員、母児共に周産期合併症はみられず、出生体重2500g 以上の正期産児であった。医療スタッフ(36 名)の評価として、マニュアルの内容で良かった点は【時期別の保健指導内容が明確】等の意見があった。褥婦(7 名)からの評価として"助産師さんにいろいろ聞けたのと、話ができて良かった"等の発言を得た。 セルフケア行動の習得を目的としたマニュアルを用いた支援は、周産期合併症を予防し、産後も継続できるセルフケア行動を習得するために有効であったといえる。助産師は、多職種と妊産婦をつなぐ役割を持ち、妊娠と血糖コントロールを関連づけた支援を行うことが重要と考える。