著者
竹村 諒太 本田 真己 深谷 哲也
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.57-66, 2019-04-05 (Released:2019-04-26)
参考文献数
29

トマトやその加工品に豊富に含まれるリコピンは強力な抗酸化能を有している 。しかし,植物中のリコピンはtrans体として存在し,trans体リコピンは体内吸収性が低いことが知られている。一方で,トマト加工品には,cis体リコピンが豊富に存在し,体内に吸収されやすいことが報告されている。また,最近の研究では,リコピンはオリーブオイル,たまねぎと一緒に加熱されると,trans体からcis体への熱異性化が促進されることが報告されている。そこで我々は,家庭において一般にトマトと一緒に調理されている野菜からリコピンの熱異性化を促進する野菜を調査したところ,たまねぎに加えてにんにく,ブロッコリー,キャベツがリコピンの熱異性化を促進することを明らかにした。さらに,たまねぎ,またはブロッコリーを使用した一般的なトマト料理の加熱調理がリコピンの熱異性化に及ぼす影響を調査した。その結果,トマト料理の加熱調理においてもたまねぎ,またはブロッコリーの使用は,リコピンの熱異性化を促進した。