著者
竹花 正剛 竹花 裕子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.103-111, 1994-03-31
被引用文献数
1

1970年代に入って、無発語の自閉症児や重度の精神遅滞児に対して非音声系の補助手段としてサインやシンボルや文字を用いた指導法が多く報告されるようになった。非音声系の補助伝達手段を、音声言語の補助とするか、または代替として機能させるかは、障害のレベルやタイプおよび音声言語のレベルによって異なる。本研究は、視覚-運動系が優位で優れた視覚的記憶を示す中度の遅れを持つ自閉症児にサインと言語の同時提示法(マカトン法)を導入して、命名学習へのサイン言語の有効性を検討した。結果は、サイン反応の習得が言語反応に先行し、最終的にはサインと言語の複合反応を形成した。般化事態では、言語反応の般化は見られたが、サイン反応の般化はほとんど認められず、修正法の導入で言語とサインの両反応の般化が見られた。また、言語条件とサインと言語の同時提示条件と比べた場合、後者の方が学習成立が速い傾向が認められた。