著者
竹野内 紋子 中島 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.2402-2410, 1997-09-25
参考文献数
7
被引用文献数
1

本論文では, 3次元物体を多方向からコード化する2色格子投影法と, それによって得られる情報を用いて, 3次元物体を識別する手法を提案する. 本法は, 3次元物体にしま模様を投影し, それを2次元にコード化する手法であるところのグリッドコーディング法を発展させたものである. これはオクルージョンの低減を目的として提案されたものであり, 多方向から観察した物体の情報を, 投影格子に色情報を付加することによって同時取得可能としている点が特長である. 更に3次元物体の識別過程では, コード化画像のパワースペクトルが対象物体の3次元形状を反映したパターンとなることを利用し, それから物体の平面内での回転や平行移動の影響を受けにくい特徴量を抽出している. そして, 特徴量の微妙な変化へ対応するため, ニューラルネットワークの汎化機能を利用して識別を行っている. 識別に用いる際の問題点を考察するために単純な形状の被験体を用いた識別実験を行ったところ, 識別率で約95%なる結果を得ることができた.