著者
笹山 夕美絵 原田 敦志 菅原 美保 内田 まり子 善積 有子
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.21, 2011

<B>【はじめに】</B><BR> 当協会では、仙台市在住者に対し、訓練事業委託元である仙台市の身体障害者更生相談所(以下、更生相談所)、相談事業を受託しているアイサポート仙台(以下、アイサポート)と連携して在宅訓練を実施している。今回は、ある当事業利用者に対して実施した生活訓練を通して、支援のタイミングと連携について、経過を報告する。<BR><BR><B>【ケース】</B><BR>Aさん:糖尿病性網膜症(合併症:腎不全)50代単身女性。現在視力、右)0.01左)0<BR><BR><B>【経過】</B><BR>2004年8月 地元病院で糖尿病性網膜症と診断。視力右)0.1左)0。<BR>2008年頃 東北大学病院(以下、大学病院)にて白内障手術実施。<BR>2009年10月末 視力低下右)0.08左)0。<BR>2010年5月 大学病院にて網膜剥離の手術実施。視力低下が続き右)0.02左)0。入院時に地域医療連携室より、生活保護ケースワーカーとアイサポートに連絡が行き、アイサポートから当協会へと繋がった。この間の生活では一人で外出が出来なくなり、買い物やゴミ捨ても出来ず、食事も作れず、友人にその全てを頼んでいたがとても不便だったとのこと。<BR>2010年6月 当協会の在宅訓練を開始。科目は歩行とADLで実施。このときアイサポートを通じて移動支援やホームヘルパーの利用、生活保護ケースワーカーから腎臓食の配達の手配等、生活基盤の安定を訓練と同時に進めた。<BR>2010年10月 視力は右)0.04左)0。<BR>2010年11月末 眼圧が上がり大学病院に入院。約2ヵ月訓練停止。訓練としてはいつでも再開できる旨を伝え、定期的に連絡をする。目も落ち着き右)0.06左)0。<BR>2011年2月 訓練再開。<BR>2011年3月 震災後、さらに視力が低下し右)0.01左)0。訓練継続中。<BR><BR><B>【考察】</B><BR> Aさんは、医療現場から相談機関、訓練機関につながったことで生活基盤の安定と訓練を同時に進めることができた。特に、2010年11月末には眼圧が上がり入院したことで、若干精神的に落ち込んだようだが、"先のことを相談できる機関があったことで安心感があった"との発言が聞かれた。地域の社会資源が連携し、タイミングよくサービスを提供することで、視機能が徐々に低下していく中でも不安感が高くならず、訓練をスムーズに進めることができたと思われる。