- 著者
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原田 敦史
内田 まり子
- 出版者
- 視覚障害リハビリテーション協会
- 雑誌
- 視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.86, 2012
<B>【はじめに】</B><BR> 日本盲人委員会が立ち上げた東日本大震災視覚障害者対策本部の現地の支援員として、1年間活動をしてきた。災害規模が大きくその支援は困難を極め、中でも支援を行うための準備は急を要したが、残念ながらすぐに活用できるものは多くはなかった。我々は第一次から第三次の支援に際して、当てのないまま支援物資の準備と資料の作成を行った。今回の報告では、災害時にはどんな物資が必要で、どのような情報があったのか、それを活用するためにどんなマニュアルを作成したのか、今後も活用できる部分を中心に紹介する。<BR><B>【現地の支援活動】</B><BR> 対策本部では、岩手県と宮城県の避難所を中心に約750か所を訪問し視覚障害者を探して支援を実施した。また安否の確認ができなかった方、支援の要望があった方の自宅を訪問し支援を実施した。その数は300件近くとなった。<BR> これら支援の交通手段は車で、その際には支援グッズを積んで回った。<BR><B>【準備をしたもの】</B><BR>○物資について<BR> 最初はラジオや、携帯の充電器、白杖、音声時計、乾電池を準備した。その後は支援団体から届いた物資を加えながら増やしていった。<BR>○情報について<BR> スーパー開店状況等の食料事情や医療機関の情報は多くの被災者が必要とした。また視覚障害者支援団体や業者より様々な支援策が実施されていた。それらをまとめて一つの情報にして資料を作成した。これには随時新しいものを加えていった。<BR>○マニュアル・個別表について<BR> 第一次の避難所中心の訪問から第三次の個人宅中心の訪問まで、マニュアルは三回とも更新した。また対応したことが分かりやすいように個別対応表も作成し、これも更新をしていった。その場でメモを取らなくてはいけないことは何か、今後必要になってくる情報はなにか模索しながら資料を更新していった。<BR><B>【まとめ】</B><BR> 阪神大震災でも視覚障害者支援は実施されたが、役に立った物資等については、報告内に少しはでてくるものの、細かい資料等は残っておらず、一から資料作成をした状態であった。また何を聞くべきか、何を残すべきか、どんな支援物資を届けるべきか、常に考えているものの、答えが出ないものでもあった。ただし、被災地支援に関わったものとして、一つのまとめを残す必要があるかと考え、また、実際の支援にも役に立った部分もあるので、今後の支援準備の参考になればと思う。