著者
榎本 忠儀 笹島 靖正 廣部 厚紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.2, 1997-03-06
被引用文献数
14

MPEG2符号化器LSIでは全処理量の約90%が動きベクトル検出処理で50〜100 GOPSにもなり, その動作時消費電力P_<at>は極めて大きくなることが予想される。CMOS論理回路のP_<at>は下式で表現できる。P_<at>=κn_gf_cC_<La>V_D^2, ここで, κは稼働率, n_gはゲート数, f_cは信号あるいはクロック周波数, C_<La>は負荷容量, V_Dは電源電圧である。マクロブロック(MB)1個(16×16画素)を処理する時間とサーチウィンドウのサイズが与えられば, f_cは決まる。動きベクトル検出等, 個別信号処理に要求される1秒当りの処理回数Qとf_cとの関係はf_c≧Qとすべきであるから, P_<at>≧にκn_gQC_<La>V_D^2と書ける。アルゴリズムの改良等によりQが1/nに削減できれば, f_cとV_D(∝f_c)を1/nに低減できる。つまり, 削減後の動作時消費電力P_<at>'; P_<at>'=κn_gf_c'C_<La>V_D'^2=κn_g(f_c/n)C_<La>(V_D/n)^2=P_<at>/n^3はnの3乗に比例して低減できる。例えば, Qが1/2(n=2)に削減される場合, 消費電力は1/8に低減できる。