著者
関 健太郎 榎本 忠儀
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2013-AVM-81, no.1, pp.1-6, 2013-07-12

SHV 向けに動きベクトル検出処理速度を超高速化した帯状探索窓動きベクトル検出アルゴリズムを開発した。本アルゴリズムは 0 次~ 2 次探索で構成される。0 次探索は複数の候補点より最適な探索点を得る予備探索、1 次探索は帯状探索窓探索、2 次探索はダイアモンド探索である。本アルゴリズムを H264/AVC に準拠したソフトウェアエンコーダに実装し、6 種類の HDTV(High Definition TeleVision) 画像 (“Bronze with Credits”、“Ice Hockey”、“Whale Show”、“Tractor”、“Riverbed”、“Inter-section”) に適用し、画質、探索速度を評価した。その結果、本アルゴリズムは全探索法と遜色のない高画質を維持することができた。 “Bronze with Credits” で評価した本アルゴリズムは探索速度を FS の 204.53 倍、S-UMHS の 3.346 倍、EPZS の 1.727 倍、高速化することができた。
著者
榎本 忠儀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.296-306, 1996-03-25
参考文献数
17
被引用文献数
14

マルチメディア機器の構築に必須なLSIで重要な性能指標に"信号処理性能"と"動作時消費電力"および"待機時消費電力"がある. 本稿では, まず, CMOSおよびGaAs集積回路の消費電力について解説し, 次に低消費電力化技術を詳しく述べる. 動作時消費電力を低減するにはこれを構成する各ファクタ(電源電圧, ゲート稼働率, 回路規模, クロックおよび動作周波数, 負荷容量, 貫通電流, 等)を削減すればよい. そのための方策, すなわち, アーキテクチャ, アルゴリズム, 回路, 等に関する技術の具体例を詳述する. また, 動作時特性を劣化せずに, 漏れ電流, 貫通電流を遮断して, 待機時消費電力を削減する方法についても検討する. なお, 低消費電力化の基本条件は信号処理性能を維持し, チップ面積を増やさないことである.
著者
榎本 忠儀 道関 隆国 吉見 信 井田 次郎 一法師 隆志 三木 和彦 山岡 雅直 有本 和民
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.234, pp.85-88, 2005-08-11

SOI製品が、サーバー、ゲーム機、電波時計等の分野で広がりつつある。一方、ITRSのロードマップによれば、SOIデバイスは、サブ50nm世代以降の微細化デバイスの候補であり、emerging technologyとして"nonclassical CMOS"に分類されている。本パネルでは、まず、ビジネス的観点から、「死の谷越え」のできるSOIデバイスの特徴、アプリケーション、条件を明らかにする。次に、技術的観点から、超高速指向のアプリケーションにターゲットを絞って、サブ50nm世代のLSI設計における問題点を明らかにするとともに、SOIによる対策例を示す。各種SOI技術を「バルクデバイスの置き換え」、「SOIしかできない技術」というような色分けをしながら、今後SOI技術が本当に切り札になりうるのかを議論する。
著者
榎本 忠儀
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J92-C, no.8, pp.477-487, 2009-08-01

動画像符号化プロセッサLSI(符号化LSI)が世界で初めて開発されたのは1987年であった.その後飛躍的な発展を遂げ,現在のディジタルマルチメディア時代が築かれた.本論文では,まず符号化LSI開発の歴史を振返る.次に符号化LSIの高速化・高性能化・低電力化を実現するために開発された各種技術を解説する.更に, MPEG-2 符号化LSI, MPEG-4 符号化LSIのチップアーキテクチャ,機能,特徴,H. 264/AVCのチップ応用を詳述する.最後に,将来に向けた符号化LSIの低電力化技術に言及し,符号化LSIの将来を展望する.
著者
榎本 忠儀 笹島 靖正 廣部 厚紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.2, 1997-03-06
被引用文献数
14

MPEG2符号化器LSIでは全処理量の約90%が動きベクトル検出処理で50〜100 GOPSにもなり, その動作時消費電力P_<at>は極めて大きくなることが予想される。CMOS論理回路のP_<at>は下式で表現できる。P_<at>=κn_gf_cC_<La>V_D^2, ここで, κは稼働率, n_gはゲート数, f_cは信号あるいはクロック周波数, C_<La>は負荷容量, V_Dは電源電圧である。マクロブロック(MB)1個(16×16画素)を処理する時間とサーチウィンドウのサイズが与えられば, f_cは決まる。動きベクトル検出等, 個別信号処理に要求される1秒当りの処理回数Qとf_cとの関係はf_c≧Qとすべきであるから, P_<at>≧にκn_gQC_<La>V_D^2と書ける。アルゴリズムの改良等によりQが1/nに削減できれば, f_cとV_D(∝f_c)を1/nに低減できる。つまり, 削減後の動作時消費電力P_<at>'; P_<at>'=κn_gf_c'C_<La>V_D'^2=κn_g(f_c/n)C_<La>(V_D/n)^2=P_<at>/n^3はnの3乗に比例して低減できる。例えば, Qが1/2(n=2)に削減される場合, 消費電力は1/8に低減できる。
著者
岩田 治也 廣部 厚紀 榎本 忠儀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-09-05
被引用文献数
7

既存のGaAsディレイフリップフロップ(D-FF)に比べ、動作速度、消費電力の優れたH+L+型(1POP型)D-FFを報告した。1POP型D-FFは図1に示す様にCMP(Compare)gateでClockを受けている。所望の高性能特性を得るには高駆動能力のクロックドライバー(Clk Drv)が必要となり、これを含めるとD-FFの消費電力は増大する。今回、この問題を解決した改良型D-FF(改良1POP型)を開発し、0.5μmGaAs MESFET技術を用いて電源電圧(V_<dd>)0.5Vで最高動作周波数2.20GHz、消費電力0.61mWが得られた。1POP型に比べ、周波数は13%の改善、電力は2/3以下に減少した。