著者
笹木 弘美
出版者
北海道医療大学看護福祉学部学会
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部学会誌 = Journal of School of Nursing and social Services, Health Sciences University of Hokkaido (ISSN:13498967)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.55-63, 2013-03-31

本研究は統合失調症を体験する人の思い描く生活とその広がりついて明らかにすることを目的として,デイケア通所している3名の統合失調症者に対して質的帰納的研究を行なった.分析の結果,7個のカテゴリーが抽出された.彼らの生活は発病前【病気なる前の生活】を体験しており,あたり前のような生活は発病前後に【あたり前の生活からあたり前ではない生活へ】【変わりゆく生活に苦しむ】を体験し,病状の安定によって【健康であるという実感】【自分の存在を認めてくれる他者の存在】【活動の場がある】に変わり,さらに自らの主体性を取り戻すことにつながり【新たな生活の思い】を可能にしていたと考えられる.本結果は,地域で暮らす統合失調症患者の生活の広がりを支えるための支援の在り方に寄与できると思われる.