著者
笹根成哉 小川 秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.819-827, 1994-05-15
参考文献数
9
被引用文献数
4

本論文は、雲画像における雲頒域を抽出するための領域分割法と雲種を識別するための有効な特徴パラメータを提案し、それらによる雲種の識別法を与えている。対象とする雲種は、代表的な雲である巻雲、巻積雲、積雲の3種類としている。雲の領域は多様な濃度分布および形状を呈する。また、一郵の雲種では雲と空との境界が暖味である。一方、空の領域の濃度分布は比較的均質である。本文では、このような性質を有する雲画像に有効な領域分割法として磯率的弛緩法の利用を提案し、その初期磯率の与え方を示す。雲種の識別では、雲の形状が不走あるいは多様であるため、幾何学的な形状を特徴パラメータにすることは難しい。そこで、本文ではテクスチャ特徴を表す濃度勾配方向ランレングス、形状の複雑さを表す等濃度線フラクタル次元為よび雲と空との境界のエッジ強度を定義し、それらが各種の雲の特徴パラメータとして有効であることを示す。最後に、これらの特徴パラメータを用いて雲種を識別する手順を与える。