- 著者
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筧 久美子
成田 靜香
林 香奈
野村 鮎子
- 出版者
- 奈良大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2001
この研究は、女性の視点から中国の古典文学を読み直すことに主眼をおいたものである。具体的には、古典文学の中で「女」がどのように描かれたか、どのような女性像が形成されたかについて、作品を分析した。個別の研究としては、筧久美子が主に清末の評論を、野村鮎子が宋・明・清の寿序や墓志銘を、林香奈は六朝の詩文を、成田静香は唐の詩文を中心にした。なお、研究メンバーが集まって、東京の中国女性史研究会が出版した『論集 中国女性史』について批評を行い、その一部を研究主担者である筧が「書評『中国女性史』」(『女性史学』11号)として公表した。さらに筧は女性の称謂や『列女伝』についても考察をすすめ、「漢語称謂-女性語を中心に」(新村出記念財団報15号)、「『列女伝』という書物」(女性史総合研究会会報No.86)などを発表した。六朝時代を担当した林は、「妬婦」(嫉妬する女)に関する研究をすすめ「『妬婦』考補説-恐妻家の記録-」(『言語文化論叢』6号)を発表している。明・清時代を担当した野村は、女性の寿序についての研究をすすめ、明清時代に女性の寿序という新しい散文の文体が流行することを、当時の「孝」と「家」の思想から分析した。これは、中国から出版された『明清文学とジェンダー』に「明清女性寿序考」というタイトルで収められている。