著者
筧 慎吾 若林 秀隆
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.170-174, 2021 (Released:2021-11-15)
参考文献数
17

術後回復を促進させる術前環境の適正化にあたり,術前から介入するプレハビリテーションの重要性は高まっている. ERAS®プロトコルのガイドラインでは手術部位により, 高く推奨されている. プレハビリテーションの効果は運動耐容能や呼吸機能,筋力を向上させ,術後合併症を軽減し入院期間を短縮することである. 構成は, 運動療法, 患者術前教育, 内科的治療, 禁煙・禁酒, 栄養療法などであり, 多職種でのマルチモーダルアプロ―チで介入する. 対象や開始時期は, 胸部・腹部・骨盤内手術患者で運動習慣がなく, 高齢やサルコペニア患者などを対象とし, 手術4週間以上前からの開始が推奨されている. 運動療法は, 中強度以上のレジスタンストレーニングや有酸素運動, 呼吸筋トレーニングであり, 併存疾患が多い高齢患者には, モニタリングと個別運動処方をする. 低栄養患者やサルコペニア患者には, リハ栄養を基準に運動療法と栄養療法を組み合わせることが重要である.