- 著者
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箕輪 啓太
清水 義博
- 出版者
- 日本腹部救急医学会
- 雑誌
- 日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.3, pp.593-597, 2016-03-31 (Released:2016-10-01)
- 参考文献数
- 16
クラッシュ症候群以外の外傷性横紋筋融解症で出血性ショック,呼吸不全を契機に発症した急性腎不全に対して早期から腎代替療法を施行することで救命できた1例を経験したので報告する。症例は35歳男性,125ccバイク走行中に大型トラックと衝突し,当院へ救急搬送された。画像検査にて外傷性横隔膜ヘルニア,血気胸,外傷性脾損傷,骨盤骨折を認めた。呼吸不全,出血性ショックの状態を呈しており,緊急手術にて横隔膜縫縮術,脾臓摘出術を施行した。術後経過良好だったが,腎機能障害,横紋筋融解症が増悪した。輸液療法にて様子をみていたが,尿量減少を認め,外傷性横紋筋融解症による急性腎不全と判断し,第4病日に腎代替療法を導入した。3週間程度の乏尿期が続いたが,第31病日に透析離脱できた。第52病日にリハビリ目的に転科となった。横紋筋融解症による急性腎不全に対して,早期からの腎代替療法は有効な治療法であると思われる。