著者
箕輪 啓太 下村 克己 高階 謙一郎
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.079-084, 2017-01-31 (Released:2017-04-03)
参考文献数
12

要旨:Meckel憩室が腸閉塞の原因になっている頻度は腸閉塞全体の0.3~1.5%であり,比較的まれな疾患である。過去9年間に当院で経験したMeckel憩室が原因である腸閉塞4例について報告する。全例が男性で,0~76歳であったが,術前CTでMeckel憩室由来の腸閉塞が指摘されたのは3例であった。全例とも外科的治療を施行した。腸閉塞の原因は,術中所見から3例が憩室関連の内ヘルニア,1例が憩室炎による癒着性腸閉塞と判明した。術式は小腸部分切除術2例,楔状切除1例,単純切除1例であった。病理検査で異所性組織を認めたのは1例のみであった。術後経過は良好であった。原因不明の腸閉塞の場合は造影CTが診断に有用であり,原因の1つとしてMeckel憩室を念頭に置くべきである。
著者
野々木 宏 安田 康晴 今井 寛 太田 祥一 小澤 和弘 木下 順弘 小林 誠人 高階 謙一郎 森村 尚登 山野上 敬夫 山村 仁 脇田 佳典 横田 順一朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.800-805, 2019-08-15 (Released:2020-10-26)
参考文献数
15

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)の発症から再灌流療法までの時間を短縮するためには,病院前12誘導心電図記録の病院への事前伝達が有効であり,ガイドライン勧告がなされている.ガイドライン勧告の実践がなされているか救急隊による12誘導心電図記録と伝送の実態を把握するため,全国地域メディカルコントロール(MC)協議会251団体へのアンケート調査を実施した.回答率は96%で救急隊による12誘導心電計を搭載しているのは82%と高率であったが,全車両に搭載しているのは28%と低率であった.12誘導心電計を搭載している196団体のうち,電話による病院への事前伝達を行っているのは88%と高率であったが,伝送しているのは27%と低率であった.本アンケート結果から,ガイドライン勧告の実践を実現するためには,12誘導心電計の搭載とともに,地域MC協議会を中心とした救急隊と病院群との連携,プロトコル作成や心電図検証が必要であり,それには救急医とともに循環器医の地域MC協議会への関与が必要であると考えられる.
著者
箕輪 啓太 高階 謙一郎 下村 克己 亀井 武志
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.723-726, 2016-05-31 (Released:2016-11-30)
参考文献数
15

腹痛・嘔吐を主訴に当院を受診し,胆石イレウスと診断された3例を経験したので報告する。症例1は78歳,男性。腹痛を主訴に他院を受診し,CTにて回腸に最大径4.0cmの結石を指摘された。手術目的に当院転院搬送され,胆石除去術を施行した。症例2は69歳,男性。消化器内科にて胆囊十二指腸瘻で通院中。嘔吐・腹痛を主訴に救急外来を受診し,CTにて最大径4.0cmの結石を指摘され,胆石除去術を施行。症例3は57歳,女性。嘔吐と間欠的な腹痛を主訴に救急外来を受診した。CTにて胆囊内に胆石1個,回腸内に落石胆石1個認めた。胆石イレウスに対して胆石除去術を施行した。第6病日に再び胆囊内の胆石が落石し,再び胆石イレウスが出現したために同日緊急手術を施行した。3症例ともに,胆石除去術のみで胆囊十二指腸瘻の根治術はせず外来通院にて経過観察となった。