著者
篠部 裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.625-630, 2012
被引用文献数
2

都市における高層建築物の林立に伴い都心に残る庭園からも多くの高層建築物が眺望されるようになった。本研究は、わが国の主要な5庭園(偕楽園、兼六園、後楽園、六義園、縮景園)を対象に庭園の周辺景観を保全するための施策を調査し、これらを比較・考察することで、都市部の庭園の景観保全施策の主要な枠組みとその要点を明らかにし、縮景園の周辺景観の保全のあり方を検討した。具体的には、5庭園における景観保全のための制度(風致地区、高度地区、地区計画の有無、庭園周辺の用途地域、景観保全のための目的と基準の概要、事前届出の対象行為、眺望点の有無など)を調査し、これらを比較・考察した。今後の縮景園における周辺景観の保全の諸課題は、(1)事前届出の対象となる建築物の高さの見直し、(2)周辺景観の保全のための地区設定の見直し、(3)庭園の眺望景観を考慮した眺望点の設定、(4)建築物の最高高さ制限の設定、が挙げられる。